「農業」は大事!! 農商工連携と6次産業化の推進

「農業」は大事!! 農商工連携と6次産業化の推進

九州経済の最前線情報について、施策情報を交えて紹介するコラムですが、第五回は、農商工連携と6次産業化の話です。農業は食の中心であり、私たちの生活に直結する大切なテーマですので、最後までお目を通し下さい。

緑提灯、ご存知ですか?

夕方、博多駅筑紫口を抜け、ホテルクリオコートの前を通ると、緑の提灯が視界にはいって来ます。赤提灯ではなく、緑提灯です。緑提灯のはじまりやその詳しい内容を説明するスペース上の余裕はありませんが、半分以上、国産の食材を使用している居酒屋や食堂の目印、自己宣言なわけです。

付いている★の数で、国内調達率が上がっていきます。星が一つで50%、二つで60%、三つで70%、四つで80%、五つで90%となります。クリオコートの1Fは、二つ星の緑提灯なので、60%の国産食材を使用している居酒屋があるということです。

詳細は、緑提灯のHPをご覧頂ければと思いますが、要は国産食材を推奨する運動です。既に、全国で3000店舗に迫る運動参加者が存在します。街が緑の提灯で埋め尽くされるのも、そう先のことではないかもしれません。

http://midori-chouchin.jp/

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食料自給率は41%?

緑提灯運動の意味を、本年4月に発表された「農林水産業の将来ビジョン」の中に見いだすことができます。下図は、ビジョンの中で、食糧自給率の推移をみたものですが、昭和40年には、70%を超えていた国内自給率(カロリーベース)が、最近は、40%前後で推移しています。

その要因が生産面と消費面で分析されていますが、近い将来、世界的な食料不足が懸念される中で、自給率の向上は不可欠と言えます。その対策としては、3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において、以下の二つの指摘がされています。

① 経営規模にかかわらず、意欲あるすべての農業者が安心して再生産に取り組むことができる環境を整備する戸別所得補償制度

② 地域の第1次産業とこれに関連する第2次・第3次産業に係る事業の融合により雇用と所得を生み出す6次産業化を中心とする各般の施策を一体的に推進する政策体系に農政を大転換し、「食」と「地域」の早急な再生を図ります。

特に、6次産業化は、農林水産業本来の第一次産業だけでなく、他の第二次・第三次産業を取り込むことから、第一次産業の1と第二次産業の2、第三次産業の3を足し算して「6」となる造語です。農林水産業が、直販所やレストラン、観光との一体化した例が多く、一村一品の経験を有する九州地域において、6次産業化は、きわめて重要なコンセプトだと言えます。

2010051202.png一昔前にも、第一次産業に付加価値をつけて高度化を目指すという意味で、1.5次産業化という言葉が使用されたことがありますが、6次産業化の方が、加工、流通を複合化させるという観点も含まれ、より広く、重層的なコンセプトと言えそうです。

農商工連携の推進

経済産業省においても、農林水産省と連携して、中小企業対策の一環として農商工連携を推進しています。概要は、中小企業者(商工業者に限る)と農林漁業者に、共同で新商品の開発等に取り組む事業計画を作成してもらい、それを経産省と農水省で認定し、様々な支援措置を講ずるというものです。また、農商工連携を支援する公益法人やNPOに対する支援もあります。

2010051907.jpg上図のとおり、いろいろな支援施策がありますが、特に活用されているのが補助金です。

補助金には下図の3通りがあります。補助率はすべて2/3以内です。特に、事業化・市場化支援事業補助金は、中小企業者と農林漁業者がお互いの経営資源を持ち寄って、認定された連携事業に関連する試作品開発、市場調査、展示会出展、専門家による指導・助言等を活用して、中小企業者の経営向上や農林漁業者の経営改善を実現するもので、これらの事業に対して補助金が交付されます。補助金をうまく活用することにより、地域の経済力に付加価値が生まれることになります。

本制度の成功例として、よく紹介されるのが、宮崎県の(株)コムテックと畜産農家が組んで行った「牛の発情発見をインターネットを通じて各農家へ知らせるシステムの開発」です。

牛の足首に取り付けた万歩計で運動量をグラフ化して牛の発情を発見する装置で、牛の発情発見を携帯電話へのメール又はファックスで知らせるシステムです。すでに、市場化が進んでおり、かなりの売り上げにつながっているとのことです。

加えて、このプロジェクトには、牛の発情発見に関する知識・技能の普及のため、宮崎大学農学部の上村俊一教授が連携参加者として助力されており、まさに、「農商工連携+産学連携」のモデルプロジェクトと言えます。

それ以外にも、全国各地において多くの農商工連携プロジェクトが始動しています。次のURLからご確認ください。

http://j-net21.smrj.go.jp/expand/noshoko/nintei/index.html

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松田一也

松田 一也(まつだ かずや)

九州経済産業局地域経済課長
JST産学官連携ジャーナル編集委員
九州大学大学院オートモーティブサイエンス専攻非常勤講師

1981年九州大学卒業後、九州経済産業局入局。中小企業技術、地域国際化等の担当を経て、環境ビジネス振興に従事、K-RIP(九州地域環境・リサイクル交流プラザ)を企画・運営。その後、九州大学工学研究院助教授、産学連携センター客員教授として、産学連携を推進。経済局復帰後は、調査課長として景気・経済動向の分析に従事、中小企業課長として施策の普及、中小企業の応援に従事。2010年5月からは現職として、各種の人的ネットワークを活かして、地域経済の活性化を支援中。全国1000名を超える読者に対して、メルマガ(真・連携通信R)も配信中。

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