ソーシャルビジネス(SB)って何? 九州経済の主役になれるの?

ソーシャルビジネス(SB)って何? 九州経済の主役になれるの?

九州経済の最前線情報について、施策情報を交えて紹介するコラムですが、第六回は、「新しい公共」という概念の登場で、俄然、赤丸急上昇中のSB(ソーシャルビジネス)です。SBと言っても、カレーではありませんので、誤解のないよう、ご注意下さい。(笑)

ソーシャルビジネス(SB)とは?

ソーシャルビジネス(SB)とは、障害者支援、子育て支援、貧困問題、環境保護、まちづくり・まちおこし等の社会的課題の解決を目的とした持続的な事業活動です。従来の営利を目的とした典型的な「会社」とは異なりますし、無報酬の善意に依存する「ボランティア活動」とも異なる新しいスタイルの事業形態です。

つまり、SBは、社会的課題の解決に対して事業性を見いだし、「新たな産業・新たな働き方・新たな生き方」を創出する主体であると言えます。今後、行政、企業、市民の協働のパートナーとしてのSBの活動が、大いに期待されているわけです。

経産省の調査によると、現在、日本には、約8,000のSBが存在しており、市場規模2,400億円、雇用者数3.2万人と言われていますが、先進国の英国と比べると、まだまだなわけです。その組織形態も、株式会社等の営利法人格の事業者とともに、NPO等の事業型非営利法人も幅広く活躍中であり、東京都にある病児保育事業のNPO法人「フローレンス」や、徳島県の高齢者による葉っぱ商品事業の株式会社「いろどり」が、SBの代表例とされています。

それ以外にも、経産省が、全国の代表的なSBを55事業集めた「ソーシャルビジネス」55選というのがあり、九州でも沖縄を入れて7事業者が紹介されています。

http://www.meti.go.jp/press/20090217003/20090217003.html

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出所:英国内閣府「社会的企業行動計画」 等


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出所:経済産業省「ソーシャルビジネス研究会報告書」

ソーシャルビジネスの担い手

SBの活動領域を、社会性・事業性・革新性の3つの要件により、位置づけたものが、ソーシャルビジネス研究会(座長:一橋大学大学院商学研究科教授 谷本寛治)報告書(平成20年4月)です。

2010062305.gif①社会性:現在解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること。
②事業性:①のミッションをビジネスの形に表し、継続的に事業を進めていくこと。
③革新性:新しい社会的商品・サービスや、それを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。またその活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること。

また、ちょっと前に活発な動きがあった、コミュニティビジネス(CB)も、SBの一つの形態であると考えることができるわけです。CBについては、福岡市のHPによく整理されたものが掲載されていますので、ご覧下さい。これらのCBも、SBであると言えると考えられます。

http://www.city.fukuoka.lg.jp/industry/sougyo/02.html

コミュニティビジネス(CB)とソーシャルビジネス(SB)の関係

コミュニティビジネスは、ソーシャルビジネスのうち、より地域性のあるもの
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出所:経済産業省「ソーシャルビジネス研究会報告書」(平成20年4月)

ソーシャルビジネス(SB)の活動分野

前述したとおり、SBは、様々な社会的課題に対応するために活動していますが、経産省のアンケート調査によると、その中でも、「地域活性化・まちづくり」が、6割を超えており、その以外には、「保健・医療・福祉」、「教育・人材育成」、「環境(保護・保全)」が続き、以下、「産業振興」、「子育て支援」、「障害者、高齢者等の自立支援」、「観光」、「文化・芸術・芸能」となっています。

SBの活動により、様々な社会的課題が解決されるわけですから、SBの活躍が世の中を良くするという好循環を生むわけです。

SB事業者の現在の事業内容
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ソーシャルビジネス(SB)の課題と支援策

SBの課題はいろいろとありますが、まずは、社会的認知度の不足があげられます。そのため、CSRに積極的に取り組んでいる企業でさえ、現段階では、SBに対する認識やSBとのコラボなどは少なくなっています。地方自治体や経済団体・中小企業支援団体の認識や理解も低調だと考えられます。

次に、社会性と事業性を両立させるための経営ノウハウの不足が指摘されます。また、そのための人材育成や人材不足も問題となっています。これらの課題を克服するために、内閣府や経産省では、いろいろな支援策を展開しています。

その代表例をご紹介します。

内閣府「地域社会雇用創造事業」

NPO・社会起業家等の「社会的企業」における人材育成・雇用促進に対し資金支援等を行い、 地域社会における様々な生活関連サービスの事業と雇用を加速的に創造しようというもので、現在、全国で12プロジェクトが動いています。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/koyou/koyou.html

経産省「地域新事業移転促進事業(コミュニティビジネスノウハウ移転・支援事業)」

自立的・持続的に自らが実施しているコミュニティビジネスの事業モデル・ノウハウを他の類似の課題を抱えている他地域の事業者に移転し、当該地域の課題を自立・持続的な事業を通じて解決しうる新たなコミュニティビジネスを育成するための事業を支援しています。

経産省では、それ以外にも、地域新事業活性化中間支援機能強化事業や農商工連携等促進人材創出事業(村おこしに燃える若者等創出事業)などを実施しています。

http://www.socialbusiness.jp/meti/

2省庁以外の省庁でも、SBに関係するいろいろな支援策を講じています。

http://www.socialbusiness.jp/ministry/

「新しい公共」とソーシャルビジネス(SB)

SBに対する追い風として、大きな期待がかけられているのが、「新しい公共」です。内閣府の「新しい公共」円卓会議で議論されているものですが、去る6月4日には、「新しい公共」宣言が発表されました。

新しい公共とは、「支え合いと活気ある社会」を作るための当事者たちの協働の場で、国民、市民団体や地域組織、企業、政府等が当事者として参加し、協働するものです。宣言には、新しい公共の重要性が示され、国民、企業、政府等のセクターの役割と、それぞれに対する期待が盛り込まれています。SBの位置づけも明確化されており、NPO等に対する積極的な支援も行っていくことになっています。

今後、各省庁では、この「新しい公共」の考え方に基づいた予算や施策の企画等を、22年度、そして、23年度に向けて行っていくと考えられますので、「新しい公共」の話は、間違いなくSBにとって、応援団になります。

http://www5.cao.go.jp/entaku/index.html

2010062308.gifまた、九州地域においては、新生「九州ソーシャルビジネス促進協議会」(Sofi)がスタートしており、私ども九州経済産業局と連携して、九州地域におけるSBの啓発普及や人材育成、更には、交流・マッチングを促進する役割を果たしていくことになっていますので、その動きにもご注目下さい。

http://www.sofi.jp/
松田一也

松田 一也(まつだ かずや)

九州経済産業局地域経済課長
競争環境整備室長
JST産学官連携ジャーナル編集委員
九州大学大学院オートモーティブサイエンス専攻非常勤講師

1981年九州大学卒業後、九州経済産業局入局。中小企業技術、地域国際化等の担当を経て、環境ビジネス振興に従事、K-RIP(九州地域環境・リサイクル交流プラザ)を企画・運営。その後、九州大学工学研究院助教授、産学連携センター客員教授として、産学連携を推進。経済局復帰後は、調査課長として景気・経済動向の分析に従事、中小企業課長として施策の普及、中小企業の応援に従事。2010年5月からは現職として、各種の人的ネットワークを活かして、地域経済の活性化を支援中。全国1000名を超える読者に対して、メルマガ(真・連携通信R)も配信中。

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