21年度の産学連携の実績
最近、文部科学省より、平成21年度の大学等における産学連携等実施状況が公表されました。大学等と民間企業との「共同研究件数」は14,779件となり、前年度に比べて195件(1%)減少し、「研究費受入額」も約295億円と、過去最高だった前年度に比べて約45億円(13%)減少しました。
また、大学等の「特許出願件数」をみても、国内・外国出願合わせて8,801件と、昨年度に比べて634件(7%)減少しました。「特許権の実施件数」は5,489件となり、前年度に比べて183件(3%)増加しましたが、「特許権の実施料収入額」は約8.9億円と、前年度に比べて約1億円(10%)減少しています。
このように、21年度産学連携の実績は、リーマンショック以降の世界的な経済不況の影響もあって、総じて伸び悩む結果となりました。本来、産学連携は、景気に左右されず、不況の時こそ伸びるべきものであって欲しいと思うのですが、そうは問屋が卸しません。そのほかの、いろいろな産学連携の実績の詳細は、以下のHPをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1296577.htm
最近の産学連携の特徴
全般的には低調だった21年度の産学連携ですが、ライフサイエンス分野の共同研究件数、中小企業、外国企業との共同研究件数は、それぞれ、252件(5%)増、119件(3%)増、52件(41%)増と、前年度を上回っており、厳しい経済情勢下でも、これらを対象とした産学官連携活動が活発だったことがわかります。加えて、具体的な成果事例を見ると、各大学等における産学連携によって、健康・長寿、環境・エネルギーをはじめとする様々な課題の解決に資する成果があがりつつあります。
■平成21年度における産学官連携活動の主な成果事例
産学官連携ジャーナル7月号「IT湯治」
http://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2010/07/articles/1007-05/1007-05_article.html
産学官連携ジャーナル8月号「コ・ラボ西川口」
http://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2010/08/articles/1008-11/1008-11_article.html
せっかくなので、もう少し、産学官連携ジャーナルのPRをさせて頂きますと、8月号は、産学連携に金融機関がコラボする「産学金連携」が特集されています。地域密着型金融に取り組む金融機関も、産学連携にとって、欠かすことのできない存在になりつつあります。
http://sangakukan.jp/journal/
産学連携に対する支援施策
産学連携の支援施策は、多省庁で用意されていますし、各自治体や関連団体にもあります。支援を受けるべきプロジェクトの内容によって、支援施策も違ってきます。本来、ここをみればという、URLをご紹介できれば一番良いのですが、これがなかなか見つからないのです。どなたかご存じの方がおられましたら、逆に教えて下さい。私の連絡先(メルアド)は、メルマガ(真・連携通信R)の中にあります。私は、関係省庁等のHPをこまめにみているほか、中小企業基盤整備機構のJ-NET21の支援情報ナビや、ふくおかアイストの研究開発公募事業データベースを活用しています。
■関係省庁のHP
http://www.kitec.or.jp/sangaku/kakukikankoubo.htm
■中小企業基盤整備機構のJ-NET21の支援情報ナビ
http://j-net21.smrj.go.jp/know/shisaku_db/index.php
■ふくおかアイストの研究開発公募事業データベース
http://www.ist.or.jp/koubo/index.php
なお、施策の検索データベースは、上記以外にも数多くあります。また、注意しなければいけないのは、これらで紹介されている公募メニュー以外にも、産学連携に活用できる施策が沢山あることです。これが使えるの?!というのも、意外にありますので、「こんなプロジェクトに使ええる施策はないか?」というご相談がございましたら、いつでも、私の方にコンタクト下さい。
産学連携は究極のSB(ソーシャルビジネス)~合い言葉は「ありがとう」
社会的課題の解決に対して事業性を見いだし、「新たな産業・新たな働き方・新たな生き方」を創出する主体として注目されているものに、ソーシャルビジネス(SB)があります。大学や企業は、これからの産学連携の一つの方向性として、市民、行政、関係機関等を協働パートナーとした究極のソーシャルビジネスを目指すべきであると、私は確信しています。その際の合い言葉が、「ありがとう」です。商品や技術やサービスを提供し、対価を受け取る側も、商品や技術やサービスを享受し、対価を支払う側も、そして、それを受動的にみている人や地域のすべての関係者が「ありがとう」と言える取組、それが、究極のSBとしての産学連携だと思っているわけです。もちろん、ビジネスを前提として、みんなが「ありがとう」と言える産学連携を進めたいものです。
今後の産学連携の方向性(ほとんど私見です。)
これまで、大学等の知財等を最大限に活用して、日本経済の活性化の一助としようとした「産学連携」が脚光を浴びました。そこには、有名大学と有名企業の名前がありました。学界と産業界が、がっぷり四つ身になった「産学連携」でした。これらの産学連携を否定するつもりはありません。寧ろ、このような産学連携の役割や価値は、今後、益々高まっていくと考えています。特に、海外の企業や大学との産学連携は、医療・創薬系、ライフサイエンス分野を中心に、産学連携の王道として、益々活発化していくものとみています。また、日本のものづくり技術やIT関連技術などの分野においても、共同研究だけではなく、産学協同での人材育成や創業などで、産学連携の果たす役割は大きくなっていくと考えています。
その一方で、大学等と企業等が四つ身になる産学連携ではなく、学がきらりと光る産学連携が増えていくとも考えています。いろいろな連携のプロジェクトメンバーの一人として、大学等が入り、各種のプロジェクトが実現する際のキーマンとなるものです。大学等が産学連携と言う料理のおいしさを増すための調味料的役割を果たすケースです。そのように考えると、商店街振興、地域づくり、ひとづくり、地域ブランドおこしなど、各種の地域活性化のいろいろな局面で、今後、学の果たす役割が増大するという結論になるわけです。
地域に誕生する様々な地域システムが、大学等の参画により、システムの厚みを増し、モデルプロジェクトとして、日本全国、そして、アジア・世界の先駆けとなり、発信・啓発されていくことこそ、今後の産学連携、大学等の役割の一つの重要な方向性になると思います。















