食のマーケティング戦略~宝の山はそこにある?
人は毎日食べないと生きていけない。病気や、断食などの例外を除けば、世界の人類は同じである。美味しくて好きな物ばかり食べられるなら、それに越したことはないが、味はもちろんのこと、昨今の節約志向や安全志向など諸々の要因によってマーケティングも支配される。
毎日が悩ましい買い物
特に主婦は家族の健康のためにという使命感もあり、個人的好みと財布の中身との戦いながら、献立を考え商品を選ぶ。働く奥様達も時間のやり繰りもままならない状況でも、奮闘しておられる。調理のことはもちろんだが、健康、栄養、価格、安全・・・など、彼女たちを迷わせる要因も様々だ。食のマーケティングも悩ましい
マズローの五段階欲求説になぞらえると、食べることは寝ることなどと同じ第一段階の「生理的欲求」に属する。しかし、お腹を満たすだけで良いとする人は、この日本では、ほとんどいないだろう。食べ物の選択肢は、食材、調理・加工、産地・メーカー、小売店・飲食店など、様々な要因を伴って多岐にわたることから、五段階欲求説のすべての段階に位置付けられ、第五段階「自己実現欲求」の領域にもかかって、人生を楽しむ最も大きな要因の一つでもある。
嗜好性の強いお菓子(デザート、スイーツなど)や、希少価値が高い肉や魚もあれば、この店のこの人しか作れない味というものだってある。この飽食の時代にあって、さまざまな要因を持ってして、マーケティングの俎上に乗るというわけである。
安全に対する意識
食の市場の大きな一角を占める生鮮食品の場合の、購入時に注意するポイントを調べてみた。(弊社の独自調査による)野菜、果物、魚、肉の4つのジャンル共に「鮮度」、「価格」が特に重視され、次いで「産地」、「消費期限・賞味期限」となっている。【グラフ1】生鮮食品購入時の注意点:複数回答(3つまで選択)

「食の安全・安心に関する調査」2010年8月ジーコム生活行動研究所
●対象/福岡県在住の20歳以上の男女361名・インターネット調査
産地に対する意識
この調査によれば、野菜に関しては「日本国産しか買わない」と答えた人は、約5割(47.6%)。次いで肉(32.3%)、魚(26.4%)となる。これまでに発覚した輸入野菜の残留農薬や有害物質混入、偽装表示などの影響により、大きな関心を払っているものと考えられる。【グラフ2】 生鮮食品の産地と購入について:それぞれ単一回答

「食の安全・安心に関する調査」2010年8月ジーコム生活行動研究所
●対象/福岡県在住の20歳以上の男女361名・インターネット調査
肉はオーストラリア産を支持
生鮮食品の国別産地の許容度を聞いたところ、最高ポイントはオーストラリア産の肉で、9割の人がこれを容認している。魚はノルウェー、カナダが高く、果物はフィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカの支持が高い。総じて言えば、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカが、許容度の高い国だ。
【グラフ3】購入しても良いと思う生鮮食品の産地:複数回答
「食の安全・安心に関する調査」2010年8月ジーコム生活行動研究所
●対象/福岡県在住の20歳以上の男女361名・インターネット調査
売る側は一層の努力が必要
以上のように、生鮮食品においても調べると得られるデータがある。エンドユーザーたちは様々な情報が氾濫する中で、商品の取捨選択を行っている。情報化社会の進展に適合する賢い消費生活者たちが増え、その厳しい選択に晒される今日、食品製造・加工、流通・小売、飲食店など、それぞれの経営において、このようなデータと向き合いながら、これからのマーケティング戦略を構築して行かねば、市場から退場せざるを得ないことになる。事業者は、しっかりとしたエンドユーザーの研究が必要だ。
※調査データは弊社WEBサイトの「公開調査データ」で、閲覧できます。
平成22年9月1日著
株式会社ジーコム 代表取締役 村上隆英















