夢の実現、人との出会いを糧にさらにジャンプ AZAP 野田周治さん

夢の実現、人との出会いを糧にさらにジャンプ AZAP 野田周治さん

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経営革新 中小企業応援センター事業
夢みることはできても、その夢を実現するのはきわめて困難です。

しかし、夢は必ず実現できます。野田社長は、まだ30代の若手社長ですが、お話を伺うとしっかりとした経営理念をお持ちでした。また今回新たな夢の実現に向けてさまざまな困難を乗り越えてこられました。現在は新規事業のスタートの準備で大忙しです。

これから自分の夢の実現に向けて起業を考えている方にとって、大変役に立つ話が伺えました。

-御社について簡単にご紹介ください。

当社は、2006年7月に福岡市東区香住ヶ丘で開店し、スノーボード用品の販売、メンテナンス、スクール業務、スノーボードブランド関連衣類の小売を主に売上を伸ばしてきました。選手兼販売スタッフとして16年間ウィンタースポーツ産業に携わり、そのデータと経験を生かした技術サービスで優秀な選手が育つような環境作りを提供してきました。福岡では当店以外で取り扱いのできない商品、予約なしでは入手が困難な商品の仕入れが可能で、中級者層から上級者層のコアなユーザー層にも対応してきました。

2010082011.jpgまた初心者育成のために、すでに閉鎖されてしまった旧屋内ゲレンデ『ビッグエア福岡』でのスクールや、旅行会社オアシスと提携した広島、東北、北海道へのツアーにも力を入れてきました。

ホームページの管理も全て当社で行っておりますので、全国のスノーボーダーに最新の情報を提供し、通信販売業務も可能としております。店舗内に修理作業スペースを設けることで、滑走面のメンテナンスもスムーズに出来ます。

-どのようなきっかけで創業されたのですか?

学生時代にマリンスポーツ系のショップでアルバイトをしていました。卒業後もそのままその会社に就職して働き始めました。最初はサーフィンなどマリンスポーツ用品を販売していましたが、25歳からスノーボードの担当になり、以来スノーボード一筋でやってきました。私自身もスノーボードの腕を磨きながら、最終的には店長まで任せてもらうようになりました。32歳のときに年齢的にも今後お世話になり続けるかかなり悩みましたが、この機会に思い切って自分の店を持つことにしました。

最初の会社では9年間働かせてもらい、店長を任せてもらったときは、ショップの運営を自分の会社と見立てて、予算決めや販売計画などを自分なりにシミュレーションしながら勉強をしていました。このときの経験が大変役に立ちました。

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-創業後の事業運営はいかがでしたか?

創業当時は、スノーボードなどウィンタースポーツブームも手伝って、順調な滑り出しでした。当初は計画以上の業績で事業をスタートしました。

しかし、若者の人口減少やウィンタースポーツブームも徐々に下火になり、次第に業績は低迷し始めました。追い打ちをかけるように、当時福岡でスノーボードをやる人達にとって中心的な存在であったビッグエア福岡がとうとう2009年7月に閉館してしまいました。ビッグエア福岡は、室内型の人口雪ゲレンデで、かなりの集客はあったのですが、大型施設ということで運営費の負担がおおきかったようです。

当初は大きな影響はないと考えていましたが、やはり徐々に業績が低下していき、一時は業種転換まで考えました。ビッグエア福岡閉館の後にお客様が九州でスノーボードを楽しめる施設がないか、また今後のスノーボードの動向などをネットで探していたときに、神戸キングスという施設を知り、今回当社の新しい事業としてスノーボードのジャンプ練習場を始めることにしました。

-ところで、その神戸キングスというのはどのような施設なんですか?

神戸キングスというのは、ジャンプ練習システム『キングス』を開発した会社です。当社の施設にもこのシステムを採用します。このキングスシステムの大きな特徴はジャンプ後の着地地点に救助用などに使用される大型なエアマットを使用していることです。これにより実際のゲレンデにあるジャンプ台に限りなく近い形状を形成することが可能で、安全性にも優れているので初中級者の方でも少ないリスクでトレーニングができます。

2010082004.jpg2003年に神戸キングスが開発し、現在は神戸に1ヵ所あるだけですが、福岡に開設すれば、九州各県のユーザーはもちろん、中国・四国地方の顧客獲得に繋がります。神戸キングスの支配人、スタッフの全面的な協力のもと計画を進めてきました。

現在オリンピックなどを目指す選手の強化トレーニング施設の主流は、大阪、仙台、川崎、広島と次々に建設されているウォータージャンプです。キングスシステムは初心者の方でも安全に楽しむことができ、従来の屋内ゲレンデと比較しても維持費が大幅に削減できます。

2010082014.jpg-キングスシステムについてもう少し詳しくお聞かせください。

スキー・スノーボードジャンプは浮遊感が楽しめる半面、着地失敗などによる怪我の可能性もあるスポーツです。スキー・スノーボード人口はここ数年停滞していますが、ジャンプ人口は年々増加しています。

キングスシステムは実際にあるスキー場のジャンプ台に限りなく近い形状に形成することができ、スキー場のジャンプ台に対応して練習できる施設として日本で唯一のシステムです。実際のジャンプはスキー場で観覧することが可能ですが、キングスを採用した施設があれば、より身近で、華麗で豪快なジャンプを鑑賞することも可能です。

着地地点に設置される立体構造型エアマットは、エアー圧力、衝撃吸収力、より雪上に近い感覚を求め設計、テストを繰り返されたものです。またエアマット本体上部に貼られる本体を保護するために開発された特殊なシートは、わずかの散水で雪上に近い滑走性能を得ることができ、衝撃吸収力、安全性を高めています。

今回、福岡キングスでは、上級者用ジャンプ台を1基、中級者用1基、初心者用1基と3レーンを設ける予定です。

2010082012.jpg神戸キングスのホームページ http://www.kobe-kings.com/

-さて、はなしは変わりますが、御社の経営方針をお教えください。

当社は,基本的には遊びを売る仕事です。したがってお客様にいかに楽しんでいただくかを大切にしています。そのためにもスタッフ自身もいっしょに楽しまなければいけません。そのようにお客様との関係を大切にしながら、永くお付き合いできる事業を行っていきたいと思います。

現在販売しているスノーボード商品は、使う場所つまりスノーボードで遊ぶ場所があって初めて生きてきます。スノーボードジャンプ練習場の福岡キングスを開設することで、お客様に楽しめる場所を提供でき、これからは、販売だけではなく、楽しめる場所づくりやお客様へのインストラクションなど幅広くサービスを展開していきたいと考えています。

-スタッフの教育方針はどのようなものでしょうか?

現場重視で教育しています。初めて入った社員やアルバイトには、トイレ掃除から徹底的にやらせています。常にお客様の目線で接客するように心がけています。

-経営についてどのように学ばれたのでしょうか?

幸い最初に勤めていた会社の社長が素晴らしい方で、そこで経営やショップ運営の基本を学ばせていただきました。社長には大変感謝しています。当時マリンスポーツのショップを2店舗展開しておられたのですが、社内のコミュニケーションが非常によくとれていて、社員全員も非常に仲がよい素晴らしい会社でした。ここでお客様志向の経営や店舗運営における数値の大切さなど徹底的に鍛えられました。

-現在のお客様の特徴や今後についてどのように考えられていますか?

現在のお客様は主に、20代前半から30代前半が中心です。今は若い人中心ですが、これからはできるだけ裾野を広げていきたいと思います。これから日本も高齢化が進んでいき、当然若い層の人口は減っていきます。その中で、現在のお客様の家族が増えていったときに、彼らファミリー層まで楽しめる商品・サービスを提供していきたいと考えています。 また将来は女性ジャンパーなど新しい顧客層も開拓していきたいと考えています。

-御社を取り巻く経営環境や業界の動向について詳しく教えて下さい。

スノーボードは、近年では年齢、性別を問わず誰もが気軽に楽しめるスポーツとして定着してきました。特にここ数年は女性のユーザー層が急激に増加しています。またボードのデザインやアウタージャケット、パンツなどのデザインが様々なファッション雑誌、メディアで取り上げられファッションとスノーボードが融合することで『流行』が生まれました。流行により市場サイクルが速まり、冬季外でも関連商品が販売可能になり1000億円を超える市場として成長しました。

2010082013.jpg九州には天山スキー場(佐賀県)、九重スキー場(大分県)、五ヶ瀬スキー場(宮崎県)があり毎年5万人~10万人の方がウィンタースポーツを楽しんでいます。福岡県では広島県(芸北方面)へのバスツアーが盛んに企画されており、九州のスノーボード人口をどのようにして集客するかが広島県や島根県のスキー場の課題であり、シーズン前にはスノーボード取扱店やメディアに対し積極的に営業、宣伝活動をされています。

現在、福岡市近郊でスノーボードを販売している店舗は大型量販店が5店舗、専門店が6店舗です。スノーボードは滑走面のメンテナンスをしないと滑走しなくなりますので、購入後のアフターサービスや技術の上達などを考慮し専門店で購入する方が増加しています。ユーザーの技術、知識が向上したことで、店舗に対する要望はますます厳しくなり、同じフィールドに立てないスタッフによる販売は難しくなってきました。

機能性が良いブランドを取り扱うことは当然の事、希少価値のある商品の取り扱いの有無など、その店舗の個性が問われるようになってきましたので、今後はより早く情報を提供でき、アフターサービスを本当に出来る店舗の成長が予想されます。

一般的にオフシーズンのトレーニング施設には、水を使用するウォータージャンプや大規模な人工降雪機を使用した室内ゲレンデがあります。福岡には、室内ゲレンデのビッグエア福岡がありましたが、2009年7月に閉鎖しました。今後、福岡キングスは九州のスキーヤー・スノーボーダーにとって必要だと考えます。

先ほどもいいましたが、ビッグエア福岡が閉館したあと徐々に売上が減ってきています。またビッグエア福岡でプレーしていたプロの選手たちなどもそれぞれ地元に帰っていったりしてしまいました。若者の人口減少に伴う市場の縮小はやむを得ないと思いますが、女性ボーダーやファミリー層の顧客開拓により、裾野を広げていかなければならないと考えています。

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建設中のゲレンデ

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整地前

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整地前の入り口

-そのような環境の中で御社の強みはなんでしょうか?

オフシーズンのトレーニング施設が無くなってしまった九州にスノーボードジャンプ練習場を建設することで、通年利用できる施設を求めるユーザーに素早く対応でき、販売、施設利用、消耗による修理・メンテナンスの流れをスムーズにし、一貫したサポート体制を築くことが可能になります。

かつて専門誌で『シーズンオフのウィンタースポーツが盛んな県』として紹介されていた福岡に、再度盛り上がりを取り戻す事が、事業拡大を目指す当社の目標です。

-福岡キングスの具体的なサービス内容を教えてください。

営業時間は、AM12時からPM11時までです。火曜日が休館日の予定です。利用料金ですが、施設を利用するための1日券やマンスリーパスなどを発行する予定です。

-ここまでいろんな方に助けられて、実現できたと思います。

今回福岡キングスを開設するに当たり、多くの人に応援していただきました。施設の用地を探していたときも、地元の不動産会社に尽力いただき、素晴らしい場所が確保できました。また神戸キングスの社長はじめスタッフの皆さんに大変お世話になりました。

-今回活用された公的支援制度を教えてください。

今回多くの支援制度を利用させていただきました。

まず簡単な事業計画を作ってから、福岡商工会議所の金融相談窓口に資金調達の相談させていただきました。そこで資金調達に関する様々なアドバイスをいただき、そのなかで経営革新制度を紹介していただきました。経営革新計画を県知事に承認をいただくことで、さまざまな支援制度を活用することが可能です。

次に活用したのは、福岡商工会議所の専門家派遣制度でした。ざっくりとした事業計画は作成していましたが、経営革新計画として新規性、実現性や収益性などをさらに磨き上げ、できるだけ素早く計画を進めるために、専門家に支援してもらうことにしました。経験豊富な専門家にアドバイスをいただくことで、ポイントを絞った計画をスピーディに作成することができ、短期間で経営革新計画の承認を頂くことができました。

経営革新計画の承認もいただき、早速事業資金の調達のため金融機関等へ融資の相談に行きました。事前の相談では、いい感触でしたが、いざ具体的な相談になったら融資が難しいということになり、計画は暗礁に乗り上げてしまいました。

そこで活用したのが、小規模企業者等設備導入資金(設備資金貸付制度)でした。この制度は、福岡県中小企業振興センターが中小企業の資金調達を支援する制度です。中小企業振興センターの審査にとおれば、設備投資資金を融資してもらえます。通常は貸付対象額の1/2までを無利子で借り入れられます(貸付限度額は4,000万円)が、当社のように経営革新計画を取得していれば、貸付対象額の2/3まで無利子で借り入れる(貸付限度額は6,000万円)ことが可能となってます。ここでなんとか必要資金を調達することができました。

今回の新規事業は計画作りから、資金調達まで様々な支援制度を活用することで実現できたと思います。

-今後の課題はなんですか。

スタッフもこれからですので、早く現場体制が安定するように努力したいと思います。店舗、施設と大変になりますが、スタッフと協力し、スキー・スノーボード産業を盛り上げたいと思います。

-将来の夢、ビジョンを教えてください。

今は福岡キングス建設が大きな目標です。子供が2人いますので、10年後も一緒に滑れてると嬉しいです。

-最後にこれから創業しよう考えている若者や学生たちに、ひとことアドバイスをください。

店舗を出す時も、凄く考えました。4年間経ってみて後悔していないので、本当にやって良かったと思っています。様々な方との出会い、経験が出来ました。

福岡キングスの施設建設にはさらに大きな決意が必要でしたが、自分の立てた計画を信じ成し遂げたいと思います。

最新情報を、以下ホームページで発信中です。ぜひお越しください。

AZAP       http://azapsnow.com/
福岡キングス http://staff.fukuoka-kings.com/

【レポーターのコメント】

「夢を実現する。」

私自身も、ひとつひとつ夢を実現してきました。夢を実現するためには強い思いが必要です。運も必要でしょう。人との出会いも大切です。しかし、自分の中に夢に対する強い思い、熱望がなければ、運も出会いもありません。

夢に対する強い思いがあり、行動が生まれます。そして行動する中で、必要な情報を敏感に感じ取ることができます。そして素晴らしい運や出会いがあると思います。運や出会いは、決して受け身で待っていてできるものではないのです。そして、思いと行動があれば必ず引き寄せてくるものだと信じています。

ご縁があって、野田社長の経営革新計画策定ののお手伝いをさせていただきました。お話をするなかで、九州・福岡のスキー・スノーボード産業に対する熱い思いを感じました。何とかしたいという強い思いが、行動になり、神戸キングスとの出会いがあったわけです。

今回の新規事業は、現在の会社規模や内容からすると、大きな挑戦です。小売業からサービス業という形態、現在のお店よりも大きな設備投資、しかし彼は持ち前の行動力で、実現してきました。

オープンしてからもさまざまな課題ができてくるでしょう。しかし思いと行動力でそれらの課題を乗り越え、さらに大きく飛躍してほしいと思います。

添付資料(印刷用にご利用ください)

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レポーター:富永 一也(とみなが かずなり)

ITコーディネータ、 中小企業診断士

通信関連会社でITビジネスに15年ほど従事したあと経営コンサルタントとして独立開業した。ITコーディネータとしてITに強い経営コンサルタントとして活動している。経営革新計画策定を支援した企業は、20社を越える。近年は事業継続計画(BCP)支援、経営戦略策定支援、特に財務分析を踏まえた再生支援に力を入れている。
AZAP
福岡市東区香住ヶ丘2-2-14-1F

電話 092-672-4224
FAX 092-672-4224

営業時間 13:00~21:00
休日 不定休

福岡キングス
http://staff.fukuoka-kings.com/

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募集中イベントについては、窓口までお問い合わせください。
電話 092-441-2161 まで

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