『経営革新』への取り組みによる新製品・新サービス展開事例~SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)・スマートフォン市場への挑戦~(株式会社アルティ 宮崎慈彦さん)

企業を取り巻く経営環境は日々刻々と変化しています。中でも、競合企業の動きや消費(あるいはユーザー)トレンドの変化に対応していくことは、生き残りのために必須と言えるでしょう。そこで今回、経営革新に取り組むことで新たな市場へ参入し、新商品・新サービスを展開する株式会社アルティ 代表取締役 宮崎慈彦さんにお話を伺いました。

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一言で「ゲーム」と言っても、その種類や範疇は様々で多岐に渡ります。ソニープレイステーションや任天堂DSやWiiといった家庭用ゲーム専用機上で動くゲームなどは、家電専門店等で購入して簡単に利用できます。一方、携帯電話機の機能を使って3大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の携帯公式サイトから提供されるゲームコンテンツをネット経由で購入して活用するものも、エンターテインメントとして定着しています。さらに最近では、iPhoneをはじめとしたスマートフォンの利用者も増え、それに伴いスマートフォン上でのゲーム利用者も爆発的に増加しています。これまで携帯公式サイト中心のゲーム環境だったものが、mixiやモバゲー、グリーなどがサポートするSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)※プラットフォーム上でも提供され、無料ゲームの利用者が急増しているという実態があります。そんなゲームアプリケーション市場において、事業の抜本的な見直しという経営革新への取り組みを通じて、激変するビジネスシーンを乗り切っているのが「株式会社アルティ」です。福岡市早良区百道浜の福岡SRPセンタービルにある「株式会社アルティ」の本社に代表の宮崎慈彦さんを訪問しました。

※SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)とは人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のWebサイト。友人・知人間のコミュニケーションを円滑にする手段や場を提供したり、趣味や嗜好、居住地域、出身校、あるいは「友人の友人」といったつながりを通じて新たな人間関係を構築する場を提供する会員制のサービスのこと。 提供元:IT用語辞典(e-Words)

-株式会社アルティの企業概要を教えてください。

はい、当社は平成12年4月に創業しました。社員数は社長以下で25名、年商は約1億5千万円になります。当社の組織には大きく3つの部門があります。1つ目は制作部、2つ目が技術システム部、3つ目が事業推進統括部です。制作部の役割は新規ゲームアプリの企画・制作です。次の技術システム部はプログラマー集団になり、主な役割はゲームアプリの開発とゲーム利用者に向けた効率的なネット運営のためにサーバー管理を担当しています。また事業推進統括部は、事業戦略のためのマーケティングや広報、WEBサイトの運営やユーザーサポートといった対外的な業務の他、人事・労務・財務といった総務系の仕事もしています。
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-株式会社アルティの提供するコンテンツアプリケーションを紹介してください。

まず、当社が提供するコンテンツアプリケーションは約40種類近くあります。それでは、その中で人気のコンテンツ2本をご紹介します。
1つ目は「電卓少女」です。これはスマートフォンのタッチパネル上で使える電卓ソフトですが、キャラクターの「阿僧祇なゆた」というセーラー服の女子高生が音声ガイダンスをしてくれるアプリになります。
例えば、 3 × 6 = とキータッチすると、「さん かけ ろく は じゅうはち」とかわいい声で答えを言ってくれます。
Apple社のiPadやMac等のPC、iPhone等の携帯、iPod等の音楽機器用のコンテンツアプリケーションは「AppStore」(アップストア)というネット上のサイトを経由し、ダウンロードして購入できます。
「電卓少女」のアプリ本体は無料でダウンロードして利用できますが、季節や年間イベントに応じた「電卓少女なゆた」のための衣装が追加コンテンツとして有償でこれらのストアサイトから提供されます。これが弊社の収益になるわけです。
最近流行しているドラッカー入門アプリの「ゲームで学ぶドラッカー入門」「ゲームで学ぶドラッカー攻略」も、福岡出身でありドラッカー入門図書で著名な藤屋伸二氏の監修で開発し、リリースしています。
こちらも「App Store」の教育アプリランキングで1位となるなど人気を博しています。

2つ目は「忍者レスキュー」です。
これは、ほのぼのキャラクターの「忍者ブタ」が捕らわれた子豚を助けるという単純なパズルゲームで、「忍者ブタ」の得意技がただ転がるだけなのですが、ゲーマーが何故かハマっているということです。このゲームは本格的に海外展開を目指して開発し、特に北米ゲーム市場を狙ったことから、「西南学院大学」や「元気日本語学校」の生徒さんたちにモニタープレイの協力をお願いして仕上げました。
結果的には競合の多い北米での成績は当初なかなか伸びませんでしたが、東南アジア、特にタイや台湾といった国で大変人気が出てダウンロードが伸びています。そこで大いに反省しましたが、ゲームやエンターテインメントは言葉や理屈よりも、シンプルさやわかり易さといったものが大事だということでした。
最近では国内でもダウンロード件数が増えて、全世界で10万件を超えて伸びています。
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-経営革新計画の承認をとろうと思われたきっかけはどのようなことでしたか?

昨年4月、あるセミナーで将来的に新事業活動を計画している企業に対して支援をするという「経営革新計画」制度があるのを知りました。ちょうどSNSやスマートフォンへの新しい取り組みについて苦労している時期でしたので、相談してみようと思い立ち、福岡商工会議所で中小企業診断士の先生の指導を受けました。 多忙な時期でもあり、経営革新計画の承認に向けて申請資料の作成や新しいことに挑戦するという意味で、貴重なお話や支援を受けることができたと感謝しています。

-具体的な経営革新計画の内容を教えてください。

従来から取り組んでいた当社の事業主体である、携帯電話3大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の携帯公式サイトへのコンテンツ配信サービスから、新しく①新興のプラットフォーム向けの「SNSソーシャルゲーム事業」、②爆発的に増加している「スマートフォン用アプリケーション事業」、③「家庭用ゲーム機向けのダウンロード販売事業」の3部門において新規に事業展開することでした。 具体的には① 「SNSソーシャルゲーム事業」では、従来の携帯公式サイト環境で培ったアプリ開発経験と配信サーバー運用ノウハウを十分に活かしてスピーディな製品の開発・提供ができることから、平成21年末には、SNSの先駆者であるmixiの先行デベロッパーに採用されました。続いて平成22年春に、モバゲーがオープン化しましたが、mixi社同様、直ぐに先行デベロッパーに採用されました。その後ソーシャルアプリ間で連携して遊べる機能を開発し、独自システムとして実現することに取り組みました。②「スマートフォン用アプリケーション事業」では、低価格でライトなアプリの開発・販売が中心で事業として収益性も低く難しい分野ですが、後述しますプロトタイピング手法で開発時間を短縮してコスト低減を図りつつ、機能追加の柔軟対応等でサービスレベルを上げることに取り組んでいます。③「家庭用ゲームダウンロード販売事業」では、これまで当社にはゲームを包装パッケージ化して販売する製造販売部門が無いため、他社にライセンス提供して販売し、ロイヤリティ収入しか得ることができませんでした。今回は家庭用ゲーム機用アプリとして直接ネットを介して販売できるようにして、在庫や販売コストを抑えることで収益性をさらに上げることに取り組みました。

-経営革新を実行するにあたり資金はどのようにされましたか?

今回の経営革新にあたり、新規の事業部門に投資する必要もあり2千万円の資金を「日本政策金融公庫」から融資を受けて確保しました。

-新製品・新サービスの顧客ターゲットはどのような方ですか?

これまでは、携帯3大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の携帯公式サイト経由でゲームを供給してきまたので、エンドユーザー(最終利用者)の顔があまり見えていませんでした。極端な話、携帯3社の企画審査担当者が当社の顧客だと考えてもおかしくなかったわけです。
それが、モバゲーやグリー等のSNSプラットフォーム環境におけるゲームの進展で、状況は大きく変わってきました。当社も直接エンドユーザーのニーズをつかんで、ゲームの開発や提供をスピーディにそして柔軟に対応していく必要がでてきました。
一方、ネットワーク環境を考えると国内だけを考えるわけにはいきません。今、顧客として考えているのは全世界のスマートフォン(iPhone、Android)のユーザーになります。
また、これまで携帯等でゲームをするのはゲーマーと呼ばれるような凝り性の一部の人だけでした。これからは、「簡単に」「楽しく」「癒し」「喜び」といったライトな気分で楽しんでいただけるような、一般の人もターゲットにしたゲームやビジネスアプリを提供したいと思います。

-新商品に関してはどのような営業活動をされていますか?

スマートフォン用ゲームの場合は、各ハードメーカーが主催するストアサイトから直接ユーザーに販売していますので、このストアサイトで当社のゲーム製品を紹介する説明文やアイコンのデザイン等に注力し、製品の訴求に繋がるように取り組んでいます。
プロトタイピング開発とは、短期間でファーストバージョン(プロトタイプ)を作成してリリースし、市場でのユーザーの反応やニーズを把握し、適応できる機能は随時追加しながらゲームを仕上げていくというものです。
この開発の過程でストアサイトが提供する販売ランキング情報やユーザーレビュー(感想・意見)がマーケティングや営業活動に大変役立っています。

-ライバルの会社はどのようなところになりますか?

世界のゲーム市場を狙う米国やその他の国々の大小さまざまなゲームメーカーになります。
最近では、ヨーロッパやアジアの小さな企業が、世界市場でビッグヒットに繋がるさまざまなゲームをリリースしています。すでにリリースされて大成功しているゲームがいくつもありますが、それらのゲームは内容だけでなく、販売方法やプロモーションといった販売戦略についても調査して参考にしています。

-他社製品との違いを教えてください。

当社が提供するのはカジュアルゲームというジャンルに属するものです。利用方法も説明不要で簡単な操作で遊べるということで、シンプルだけどやり始めるとハマってしまうという製品です。大作ゲームではないですが、利用するユーザーにいつまでも手元において遊び続けてもらえる小さな宝物のようなゲームを目指しています。
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-新製品の売れ行きはいかがですか?

先程の「忍者レスキュー」は海外にも提供しています。これは当初から北米市場向けを意識して企画・開発しました。その北米でのランキングではサブカテゴリで100位くらいにはなりました。 意外だったのはタイや台湾で、販売ランキングが10位内に入ったことです。「忍者ブタ」が意外な人気になっていることから、言葉に拠らないアジアの文化の共通点のようなものを感じました。 結果として、国内での販売ランキングも伸びて13位にまでなりました。この8月にはトータル10万ダウンロードを記録しました。また、100件近いユーザーからのレビュー(感想・意見)がストアサイト経由で上がってきて、今後のビジネスのためにも大変参考になっています。

-「経営革新」への取り組みで苦労された点があれば教えてください。

従来、当社のゲーム開発は、ある程度のボリュームのあるゲームをきっちりと時間をかけて作り込むという制作スタイルに慣れていました。しかし、この手法ではハードやプラットフォームが劇的に変化する最近のゲームを取り巻く環境の中では通用しないばかりか、コストの面でも大問題でした。実は、4~5年くらい前まではこのようなやり方でも十分に通用していたのです。 3年くらい前からでしょうか、iPhoneやAndroid-OS仕様の携帯情報端末(スマートフォン)が発売され、その高機能ハードを利用したSNSが立ち上がり、そのSNSプラットフォームから無償で提供されるさまざまなゲームが人気を博すようになったのが契機になったのだと思います。 このゲームを取り巻く環境の変化は、じんわりとそして劇的に訪れていました。当社もある程度先進的なゲームメーカーのつもりでいて、お気に入りのゲームを開発して携帯公式サイトに登録さえすれば、その利用料金が売り上げとして銀行口座に自動的に振り込まれてきていましたから、長期安定した給料取りのようなマンネリ感に包まれていたみたいです。それから少しずつ利用者が減り、売り上げが減少しだして私も初めて気づきました。この新しいSNSの環境に乗り遅れると我が社も終わってしまうと。このSNSの進展にいかに対応していくか?開発手法を抜本的に見直すと同時に、新規の事業展開を図る必要がありました。この取り組みで一番大事なことは、社員の意識改革だと思いました。自分自身がそうだったように、この新しい劇的な変化を全社員が先ず理解すること。そしてこれから何をやらなくてはいけないかを理解して、全社員でそれに取り組むことでした。 経営革新に取り組み始めて最初の頃は、社員も面食らっていたと思います。社長がついこの間まで言っていたことが、全く変わっているわけです。既存の事業部門の仕事をフェードアウト(次第に小さく)しながら、新しい事業を立ち上げていくわけです。そんな状況が暫く続きました。 その後、福岡商工会議所の中小企業診断士の先生の支援もいただき「経営革新計画書」として、アルティの新しい取り組みを正式の文書にまとめ、社員の皆に再周知することができました。その時に初めて、私の考えていることが社員にも理解されたのではないでしょうか。 社員のほとんどが制作のスタッフで、それまでマーケティングや営業活動らしいことを殆どやってきてなかったことから、顧客志向の製品作りをしていくための意識向上が目的で、外部イベントの「コンテンツマーケット」に当社も初めて出展し、全社員が交代でブースに立ち、慣れないユーザーへの製品説明にも取り組みました。 

-「株式会社アルティ」の現在の課題はどのようなことですか?

当社も新しい取り組みを始めて果敢に挑戦を続けていますが、新規のプラットフォームの市場がまだまだ発展途上であり、状況がコロコロと変わるということです。これまでの携帯電話の公式サイトでのビジネスは、長期にわたり非常に安定していたことから、そのスピードに慣れた当社にとっては、まだまだこの変化に対応するスピードが不足しています。

市場変化をリアルタイムに捉えて、新規のコンテンツの開発・販売に反映させる仕組みも状況を見ながら順次構築してきました。
さらに市場や製品に関する知識や技術を身につけるための社員教育も必要です。専門的な面では、当社の社員だけの取り組みでは限界があるので、公的支援機関の支援や外部のスペシャリストの活用、他企業からの協力も重要な要素になると思いますので、異業種交流等にも積極的に取り組むようにしています。
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-「株式会社アルティ」の目標や夢を教えてください。

数字で言うと、全世界で100万人を超えるユーザーに遊んでもらえるゲームを作ることです。
そしてなにより、ユーザーの宝物になるようなゲームを作ることです。ゲームはさまざまな形に進化し続けるので新しい技術の進展と切り離せませんが、できるものなら世界中で何世代にもわたってユーザーを魅了し続けるような作品を生み出せたら幸せだと思います。
そのためには、アルティの全社員が知恵と力を結集する必要があります。新しい環境にも柔軟にスピーディに適応し、継続して成果をあげる仕組み作りが大切だと考えています。
今後ともご支援ご協力をお願いいたします。


株式会社アルティ

所在地:福岡市早良区百道浜2丁目1番22号 福岡SRPセンタービル 
TEL: 092-846-3381
FAX :092-846-3382

事業概要
携帯3キャリア公式サイトコンテンツの企画、制作、運営、配信業務
スマートフォン向けコンテンツの企画、制作、運営、配信業務
モバイルSNSプラットフォーム向けアプリケーションの企画、制作、運営業務
家庭用ゲーム機向けダウンロード専用ゲームの企画、制作、販売業務 等
資本金:9千万円
社員数:25名

参加募集中のイベント

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募集中イベントについては、窓口までお問い合わせください。
電話 092-441-2161 まで

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