労務Q&A

育児・介護休業法の改正(平成22年4月)

Q.メディアでも育児休業を取る男性がクローズアップされるようになってはきたものの、『育児休業』は、まだまだ女性が取るものだというイメージが強いのですが、平成22年4月施行の育児介護休業法改正の中で『父親も子育てができる働き方の実現』という言葉が目を引きました。具体的にはどのような内容なのでしょうか?

A.女性の育休取得率は平成17年度育児介護休業法改正前の7割強に比べ、平成20年度には9割強まで上昇したものの、約7割が第1子出産を機に離職しているのが現状です。その背景には男性が子育てや家事に関わっておらず、その結果、女性に子育てや家事の負担がかかりすぎていることがあると考えられます。

約3割の男性が育児休業を取りたい、と考えていますが、平成19年度調査では1.53%の取得率だったものが再び1.23%と下降傾向になっています。平成17年に301人以上の企業を対象に子育て支援の行動計画対策を義務付けた次世代育成支援対策推進法が時限立法として施行されたことを背景に0.50%だった取得率がようやく1%台になったことは喜ばしいことですが、欧米に比べると男性の育児時間は最低水準となっています。
 
さて、今回の法改正の骨子である、お尋ねの『父親も子育てができる働き方の実現』の具体的内容は次の通りです。

父母ともに育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長(パパ・ママ育休プラス)

現行法では、特別の事情がある場合には(保育所に入所できない、常態として子の養育をする予定だった者が死亡した等)子が1歳に達した以降も最長で子が1歳6カ月に達するまで休業できることになっていますが、改正法では父母ともに育児休業を取得する場合、子が1歳2カ月に達するまでの間、父母それぞれが1年を超えない範囲内で期間の延長をすることができるようになりました。

具体例をあげますと、母親が産後休業を8週取得した後、育児休業を子が1歳に達するまで取得し復職したとします。その後引き続き、子が1歳2ヵ月に達するまで父親が育児休業を取ったり、母親の復職前でも当該月齢に達するまでは(例えば子が8ヵ月に達した頃から、父母同時に育児休業を取る)平行して父親も取得できます。但し、飽くまでも父母が交替して取得することが前提であり、母親のみが育休を取得した場合は期間延長の対象とはなりません。

出産後8週間以内の父親の育児休業取得促進

現行法では、育児休業の申出は、特別の事情がない限り(配偶者が死亡した、離婚して配偶者が子と同居しなくなった等)同一の子について1回に限られていましたが、妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例として前述の特別の事情がなくても再度取得を認められるようになります。

労使協定による専業主婦(夫)取得除外規定の廃止

現行法では、労働者の配偶者が専業主婦(夫)で常態として子を養育できる場合には、労使協定を締結することにより、育児休業の申出を拒むことが出来ていましたが、今回の改正により、配偶者が専業主婦(夫)であっても育児休業を取得できるようになります。

今回の法改正には、勤労者世帯の過半数が共働きであり、女性だけでなく、男性も子育てに関わり、ひいては、父母同時に親子で過ごす環境を整備しようという方向性が色濃く出ています。

福岡県が実施している『子育て等に関する県民意識調査』の中の「男性が子育てに参加するために必要な施策」の主な項目を平成15年と平成20年で比較すると、
  1. 労働時間短縮や休暇制度を普及させること(51.5%⇒59.1% 7.6ポイント増)
  2. 夫婦の間で十分に話し合い、家事などの分担をすること(50.5%⇒42.3% 8.2ポイント減)
  3. 男女の役割分担についての社会通念、慣習、しきたりを改めること(47.5%⇒34.3% 13.2ポイント減)
となっており、家庭内や社会的なルールを検討するより、「仕事と生活の調和」いわゆるワーク・ライフバランスの実現が先決であると言えそうです。

(一部の施行は、常時100人以下の労働者を雇用する事業主については公布日平成21年7月1日より3年以内)
碇宏介

碇 宏介(いかり こうすけ)

社会保険労務士・行政書士

1959年生まれ。大学卒業後、学校法人勤務を経て碇労務管理事務所に入職。労務顧問業務のかたわら、受験予備校での講師職、経営者協会での講演等を行う。平成20年に社会保険労務士法人碇人事労務センターを設立し、代表社員に就任する。その間、大手総合病院、専門病院等で人事制度策定、人事考課者訓練、中間管理職研修を行う。人事制度構築のほか、社内規程整備、労務相談などを積極的にこなしている。

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