労務Q&A

離婚時における厚生年金の分割について

Q.40代の主婦です。現在夫と離婚協議中です。結婚してしばらく共稼ぎでしたが出産を機に退職して専業主婦となりました。子育ても一段落し、再び仕事を始めています。そこで離婚が成立した場合の年金の分割について詳しい事を教えて頂きたいと思います。

A.お答えします。平成19年より離婚をされるご夫婦が、厚生年金について分割をし、分け合うことが可能となりました。

なぜ、年金を分割できるようになったのでしょうか?

我が国は、女性は結婚したら家庭に入って専業主婦となる事が当然とされた時代が長かった為、女性は厚生年金等に加入する期間が短く、男女間の年金額に格差が生じてしまうことが問題でした。そこで、離婚時に年金の分割を可能にすることにより、格差是正を目的の1つとして今回の制度が設けられました。

年金なら、なんでも分割できるのでしょうか?また、分割される年金額についても知りたいのですが…。

分割できる年金は、厚生年金であり、国民年金については分割することが出来ません。

つまり、ご夫婦であったお二人が、どちらも国民年金にしか加入していなかった場合は、年金の分割の対象となりません。

また、誤解されている方が多いのですが、分割とは年金として受け取る現金ではなく、厚生年金に入っていたという記録を分け合うことです。将来、ご自身の年金を受け取れるようになった時に分割した記録が反映された年金額を受け取ることとなります。

分割の方法について教えて下さい。

年金の分割には二種類あります。

一つ目は「離婚分割」です。これは「合意分割」とも言われ、離婚をする当人同士の合意により分割するものです。二人の持つ厚生年金記録を合算した後、合意による割合で分け合います。最大50%の範囲で、多い方から少ない方へ渡すことが可能な分割です。

もう一つの分割は、「3号分割」です。「3号」とは、国民年金法における「第3号被保険者」のことであり、厚生年金に加入している方の配偶者として、扶養されている20歳~60歳の方が該当します。

この「3号」に該当する期間については、相手の持つ厚生年金記録の2分の1を受け取ることが出来ます。この場合、合意は不要です。「3号」の期間を持つ方の請求により分割が行われます。

実際に年金を分割する場合、「離婚分割」をしようとしている期間に「3号分割」をすることが可能でありながら、まだ分割されていない期間を含む場合は「3号分割」の請求があったものとみなされ、先に「3号分割」を行い、分割後の双方のデータを基に「離婚分割」をすることとなります。
(下図参照)

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どれくらいの割合で、分け合うことになるのでしょうか?

分割の割合については、「離婚分割」は合意により割合を決めることができ、合意に至らない場合は家庭裁判所に決定して貰う事も可能です。

それに対し「3号分割」の場合、厚生年金記録を持たない方が、その期間に対して相手の方から2分の1を分割して貰い受けるものですので、割合は一律で2分の1となります。

結婚していた期間全部について、分割できるのでしょうか?また、離婚してから何年も過ぎた後からでも、分割してもらえるのでしょうか?

分割の対象となる「結婚していた期間」は分割方法により異なります。「離婚分割」の場合、平成19年4月1日以降の離婚であれば、平成19年4月1日以前の期間であっても分割の対象となります。

対して「3号分割」の場合は、平成20年4月1日以降の離婚が対象となり、分割の対象となる期間も平成20年4月1日以降の期間に限られます。

また「時効」がありますので、離婚をされてから2年が経過すると分割を行うことが出来ません。これは、二種類ある分割方法のどちらであっても同じです。
(下図参照)

2011032402.png

具体的に分割を考えている場合、個別に相談に乗って貰うにはどこへ行けば良いのでしょうか?

年金の分割については夫婦のあり方によって様々ですので、詳しい手続きの確認が必要となります。まずは年金事務所や年金相談センターにお問い合わせ下さい。「離婚分割」については、当事者双方または一方の申し出により年金情報の提供を受けることが出来ますので、離婚前にシミュレーションすることも可能です。

また、電話によるお問い合わせも可能です。連絡先や相談窓口については、「日本年金機構」のホームページより簡単にご確認頂けます。

碇宏介

碇 宏介(いかり こうすけ)

社会保険労務士・行政書士

1959年生まれ。大学卒業後、学校法人勤務を経て碇労務管理事務所に入職。労務顧問業務のかたわら、受験予備校での講師職、経営者協会での講演等を行う。平成20年に社会保険労務士法人碇人事労務センターを設立し、代表社員に就任する。その間、大手総合病院、専門病院等で人事制度策定、人事考課者訓練、中間管理職研修を行う。人事制度構築のほか、社内規程整備、労務相談などを積極的にこなしている。

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