税務Q&A

住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度の改正(案)

Q. 住宅取得資金の贈与を受けた場合における非課税限度額が引き上げられるそうですが、その具体的内容を教えて下さい。

A.昨年12月に公表された平成22年度税制改正大綱において、景気刺激策の一環として次の「改正案」に掲げるような減税措置を講じると謳っています。大綱どおり法律が成立した場合には、平成22年1月1日以後の住宅取得資金の贈与から適用できるようになります。

現行制度

現行における非課税制度は、昨年、麻生政権時代に追加経済対策の減税措置として拡充されたもので、暦年課税又は相続時精算課税制度の非課税枠に併せて適用できます。 暦年課税を選択した場合には、現行の基礎控除110万円と併せた610万円までの贈与について非課税とされます。

また、昨年末までの贈与に相続時精算課税制度を選択した場合には、住宅取得等資金の特例により3,500万円と併せた4,000万円まで非課税とされていました。(ただし、相続発生時に3,500万円までの金額が相続財産に加算されます。)

制度の概要

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は一定の増改築等の対価に充てて、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日以後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち500万円までの金額について贈与税が非課税となります。

なお、非課税制度は居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合に限られていますので、不動産の贈与を受けた場合には非課税制度の対象となりませんので注意が必要です。(ただし、不動産の贈与を受けた場合でも相続時精算課税制度は適用できます。)

受贈者の要件

次の要件のすべてを満たす受贈者が非課税制度の対象となります。
  1. 次のいずれかに該当する者であること。
     イ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
     ロ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
  2. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。
  3. 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。

非課税制度の適用を受けるための手続

非課税制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税制度の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書など一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります

改正案

経済危機に対する更なる景気浮揚策として、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、その適用期限が平成23年23月31日まで1年間延長され、現行の非課税限度額の500万円を次のように引き上げるとしています。 ただし、適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定するとしています。
  1. 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
  2. 平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円

(注)右記の改正は、平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。
ただし、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、前記Ⅰの改正前における制度と選択して適用することができます。
また、住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例については、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例が廃止され2,500万円のみとなり、65歳未満でも適用できる年齢要件の特例の適用期限については2年間延長するとしています。

山口 淳一(やまぐち じゅんいち)

税理士・CFP®認定者

1967年生まれ。大学卒業後、某税理士受験校の専任講師として財務諸表論、法人税法及び消費税法の教鞭をとる。税理士事務所に勤務の後、平成15年9月に税理士法人YCAを設立し、代表社員に就任する。その後、事業承継や企業再生等の支援を事業目的とする(株)福岡企業統治コンサルティングの代表取締役に就任する。M&Aを含む企業組織再編や相続対策及び事業承継などを得意とし、企業統治の支援業務等を積極的に行っている。

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