労働基準法の改正に会社はどう対応するか(2010/6/2開催)

労働基準法の改正に会社はどう対応するか(2010/6/2開催)

平成22年4月の労働基準法改正により、残業に対する企業の人件費負担の増大が避けられない時代がやって来ました。この負担を企業はどうするか、改正点への具体的対応、今後の残業管理のあり方などを、経営側の視点から分かりやすくお話しします。

本文の後ろに添付資料がございます。印刷してご利用ください。

では改めましてこんにちは。社会保険労務士の島村と申します。よろしくお願いします。

今日は、ご紹介にありました通り、今年の4月に改正になった労働基準法のお話をするのですが、改正内容そのものは行政側がかなり熱心に広報活動をしていたお陰でわりと周知はされているようですので、今日は改正点についてはざっくりとお話をさしあげます。やはり、皆様方が行っていらっしゃるのは経営の実務ですから実務的な対応方法を中心にしてお話をしていきたいと思います。

今回の改正は残業に関する改正になります。法律的には残業はそもそも違法なものです。基本的にはあってはならないものというのが法律的な考え方です。これは労働基準法の中に規定があります。

たぶん労働基準法は経営者の方が大嫌いな法律だと思うのですが、1日の労働時間は8時間を超えてはならないという規定があります。ならないということは、それを禁止しますという意味です。これを破ると罰則が付くようになっています。罰則は、最大で懲役6カ月。懲役ですから、罰則としては結構重たいほうで、刑事罰にあたります。

ただし、一方では仕事は仕事です。法律が1日8時間という枠を作ったとしても、杓子定規にいくものでは当然ありません。8時間では終わらなくとも今日中には終わらせなければならない仕事はいくらでもあります。そのような場合に、法律が8時間という枠を作って仕事を放ったらかしにして帰ってよいと言うかというと、さすがにそれはありません。

ただし、1日8時間では終わらない、杓子定規にはいかない事がもしあるのならば、事前に労働者に話をしなければなりません。その上で、当社は1日8時間では終わらない仕事がありますという場合には、申し訳ないけれども仕事はしてもらわなくてはなりません。残業があります、という内容を予め従業員と約束をしておかなくてはなりません。その約束の事を36協定と呼びます。

2010081802.jpg

「労働基準法の改正に会社はどう対応するか」と書いてあるレジメの1番の「残業をめぐる法規制」ですが、法律上残業とは何かを意味しています。

基本的な考え方として、原則的には1日8時間を超える労働は違法になります。先ほどお話ししたとおり罰則で、最大で懲役になります。

ただし、従業員と会社との間で残業に関する協定、一種の契約、これが先ほどお話した約束にあたります。この約束を締結していて、法律上は行政官庁と呼びますが、具体的には労働基準監督署に届け出た場合だけ、これに則って行わせるのであれば1日8時間を超える労働も特例的に認めましょうという協定を36協定と呼んでいます。36協定という名前は労働基準法の36条にこの規定があるのでそう呼ばれています。

次に、36協定の具体的な内容ですが全て法律で決められています。1日8時間では終わらないとか杓子定規にはいかない理由は何かを説明したのが①番です。

残業をさせる事由です。ここでは例えば決算のためとか、緊急業務への対応のためとか、その他会社ごとに様々あると思われます。ここは具体的に定めなければなりません。

それから、残業時間の限度ですが、上限と書いてあります。会社としては、仕事が終わるまでやってもらわないと困るという考え方はあると思いますが、仕事というのは終わらないものです。会社がある限り、仕事というのはあります。

ですから、仕事が終わることはないのです。どこかで切り上げなければならないわけです。その切り上げるべき時間を予め決めておかなければなりません。1日に何時間残業したら切り上げる、1か月に何時間残業したら切り上げる、1年間に何時間残業したら切り上げるというのを予め決めておかないと、エンドレスになってしまいます。そうならないように、予めこの36協定の中で上限時間を決めておくということです。これが②番、1か月の残業時間の上限です。1日の上限も決めなければなりませんが、今回の改正にはあまり関係がありませんので省いています。それから、1年間の残業時間の上限ですね。

その他、色々と具体的に定めなければならないのですが、今回の改正にあまり関係が無いところは全て除いています。色々と定めていくことになるのですが、切り上げる時間については、基本的に会社はできるだけ長くというところだと思います。

逆に労働者側としてはできるだけ早く帰して下さいということになるだろうと思います。それで、真ん中を取ろうということにすると、1か月の残業時間の上限は45時間です。1年間の上限は360時間です。これらを上限に国が定めており、基本的にはこの枠の中で労使が話し合って36協定を作らなければなりません。皆さま方の会社で36協定を作っていらっしゃるのであれば、この限度時間に則った36協定が一般的ではないかと思います。

1か月45時間で1日平均2時間というのは割と短い時間です。例えば、18時に終わる会社で20時位まで残業すると、それで1か月の上限に達してしまうと思われます。これに休日出勤は一切含みません。土日は完全に休んで、それ以外の日に1日平均2時間位残業すると1カ月45時間くらいになってしまいます。

それでは、1か月45時間の残業を超えてしまったらどうなるかですが、36協定で1カ月の上限を45時間と定めていれば認められません。それは違法であり罰則の対象となってしまいます。仮に、緊急事態などが発生したとしても、36協定で国の定める45時間と決めていたら、45時間経った時点で仕事を放り出してでも帰らなければならなくなります。

ただし、突発的な事態は色々と考えられます。今も宮崎では口蹄疫で大変なことになっており、突発的な事態が起きています。そのような事態でさえも45時間と決めていたら帰宅しなければならないのでしょうか。原則的には帰らなければなりません。突発的な事態が発生した場合でも、その月に45時間既に残業した人が「帰ります」と言えば、その労働者を帰さなければなりません。

それでは、緊急事態には対応できないのでしょうか。但し書きの部分を見てください。緊急事態が考えられるのであれば36協定に入れておけば良いというのが国の考え方です。

ただし、臨時的な特別な事情が発生した場合、国の基準を超えた残業があり得るということを36協定に盛り込んでおけば、基準を超えた残業も認められます。予め、突発的な事態が生じた場合には国の基準以上の残業があるという事を定めた協定の事を特別条項付き36協定と呼びます。その下に、特別条項付き36協定の例をあげています。

残業時間の上限は1カ月45時間、1年では360時間とします。これは国の基準通りです。ただし、下記に規定する特別な事由が生じた場合には事前通告の上6カ月を限度に、1か月60時間、1年500時間まで残業を行わせることができる。下にいくつか例をあげています。

①番は現業的職種ですから、現場で作業をしたり物を作ったりするような人達に当てはまる事例です。つまり、急激に発注が集中し納期が逼迫したような場合です。口蹄疫はこれに該当するかもしれません。昨日の新聞にも載っていましたが、消石灰が九州地方で大変よく売れているそうです。九州中で大量に流通しているということは、消石灰を作っているメーカーは急激に発注が集中して納期が逼迫するでしょう。その場合は特別な事由ということになり、45時間を超えて、この場合には60時間まで残業させることができるという規定になっています。

②番は事務的な仕事の場合です。決算に関して想定外の問題が発生した場合:想定外の問題と言っているのは幅広く使えるようにするためです。あまりに限定してしまうと、それ以外には適用できなくなってしまいます。解釈の仕方次第で幅広く使えるようにするため想定外という言葉をここでは使っています。

③番は営業的な仕事でしょう。突発的な事態により顧客から特に緊急の対応を求められた場合です。営業的な仕事ではお客さん第一ですから、お客さんに急な対応を頼まれたら45時間では帰れないケースもあるでしょう。そういった場合にはこのようなケースが考えられるでしょうということです。

この特別条項付き36協定に関しては6カ月を限度にという言い方をしていますが、これは特別な事由が生じた場合にはという意味です。つまり、特別な事由はあくまでもレアケースになりますので、1年の半分を超えたケースはレアケースとは呼ばないでしょう。それはルーティンになるでしょう。ですから、あくまでもレアケースという意味では1年の半分を超えることはありません。それで6カ月を限度にという言い方をしている訳です。

それから、1か月60時間ですから、6カ月を限度にさせると、6を掛けると360になります。そうすると年間で360という国の基準は超えてしまいます。ですから、ここでは年間で500時間までとしている訳です。1か月60が80になれば駄目かというと、それは構いません。1か月80が実体として あるのであれば、1か月80でいいと思います。そうすると1年500では到底収まらなくなるでしょうから、1年600という場合も当然あり得ることになります。

ですから、残業は法律の規制がかかっている範囲であり基本的には許されません。しかし、36協定があれば45時間までは認められます。さらにそれを超える残業があれば特別条項を作っておかなければ認めないという3段階の考え方になっています。

割と規制がかかる部分で、罰則としては懲役という労働基準法の中では上から2番目に重たい罰則です。上から3番目だったかもしれませんが、罰則としては大きな罰則が課されるということになります。ここまでが残業の時間に関する法律の規制です。

次は、お金に関する規制です。残業に関する1時間当たりの賃金です。残業代は通常の時間単価の25%割増で支払わなければならない。1.25倍で払わなければならないというのがお金に関する規制です。ここまでが、残業に関する法律上の規制の話です。

もちろん他にも色々とあります。この中に専門的にされている方がいらっしゃれば、もっと沢山あると言われるだろうと思います。それらの部分は今回の改正には全く関係がありませんので外しております。今回の改正に関する残業の規制については以上です。

2010081801.jpg

次のページをめくっていただくと、今回の改正の概略があります。詳細な各論につきましては後でお話するとして、ここでは概略だけをお話します。

まず①番の特別条項付き36協定はさっき出ました45時間超という場合です。1か月45時間、1年360時間を超える残業を行わせる場合には、時間外手当の割増率を法定は25%でしたが、それを超える率とするように努めることです。

「努めること」というのは微妙な言い回しです。しないといけないのか、しなくてもいいのか疑問ですが、原則的にはしなければならないと思ってください。原則的にはしなければなりませんが、どうしてもできない場合には例外的に認めるというのが「努める」の意味合いだと思ってください。法律上は努力義務と呼んでいます。努力義務ですから、少なくとも努力はしなければならないということです。努力した結果できないのであれば認めないとまでは言いませんというニュアンスです。

その次は括弧書きになっていますが、先ほどの特別条項付き36協定には入れておりませんでしたが、割増率をいくらにするかという点です。例えば1.3にするとか1.5にするとかを入れなければなりません。それから②ですが、45時間を超える場合が突発的な事態になるわけですが、更に突発的な事態が起って1カ月60時間を超える残業が発生した場合には時間外手当の割増率は50%以上とすることです。これは、「すること」ですから義務になります。努力義務ではありません。絶対にしなければならないということです。

それから③番。50%割増というのは1.5倍です。これはかなり高いです。1.5倍はちょっと高すぎるという場合には別の手段を認めます。労使協定によって、②番の50%割増の残業手当が払えない場合には、割増分を時間換算して相当する部分の休暇、これを代替休暇と呼びますが、を与えても良いことになっています。50%部分を払えないのであれば、その部分を時間換算して有給休暇のような休暇を与えなさいというニュアンスです。詳しい規定については後でお話しします。

ですから、残業については段階的に動いていくことになります。月間45時間までは1.25倍で払います。45時間を超えて60時間までは1.25を超える率になります。1.3とか1.35とかが考えられます。60時間を超えたら1.5になります。1.5の部分については払えなければ相当する休暇を与えても良いということになります。

ただし、②番の60時間を超えたら1.5、そして③番の代替休暇に関しては中小企業に対しては当面猶予になりますので助かります。当面というのは3年間です。3年間は猶予することになっています。

その下の、中小企業とは何かという部分ですが、業種と規模で決まります。小売業に該当する場合には、規模要件としては資本金が5千万円以下、または、労働者数が50人以下です。またはですから、どちらかを満たしていれば良いということです。

資本金が5千万円以下であれば、従業員が100人いようが1,000人いようが、小売業であれば中小企業に該当するという意味です。どちらかを満たしていれば構わないということです。全部は読みませんが、書いてある通りに業種と規模によって中小企業という概念が決まって、該当していれば60時間超の部分は、3年間は猶予するということになっております。

ただし、45時間を超えた部分を1.25より高くすべきという部分は猶予されていません。これは中小企業にも適用され、猶予はされません。それ以外の②、③は猶予されますから、逆にいえば中小企業に該当されている企業の場合には3年以内に何らかの対策が求められるということです。

対策として何をすればよいかという3番ですが、残業はコントロールの時代へというところです。

まず、今回の改正の目的や国としての要望です。国の目論みのようなものです。

これは何かというと、まずは①番のワーク・ライフバランスです。これは厚生労働省が3年くらい前から言っていることですが、皆さんご存じですか。仕事にかけている時間を少しけずって、家庭生活に振り分けられるような就業形態・労働環境を作るというのがワーク・ライフバランスです。

分かりやすく言えば労働時間を削って、家庭生活で持てる時間を作ってほしいということです。ワークを削れという意味ですけれども、この観点から残業時間の削減を企業に求めています。これは既に3年求めていました。3、4年求めていましたが、全く実現しません。最近ようやく実現したようですけれども、実現したのは企業側の努力というよりはリーマンショックのためです。リーマンショックで残業するほど仕事が無いということになり企業が努力して実現したわけではありません。努力の部分が無いとは言いませんがリーマンショックの影響の方が大きいです。国は何を考えたかというと、残業代の単価を上げれば良いと考えた訳です。

つまり、残業代の単価を上げるとコストが上がります。残業コストが上がると、そのコストを削減するためには残業時間を削減するしか方法がありません。そうすれば、労働時間が削減できるというのが国の目論みです。結果としてワーク・ライフバランスを実現させて、少々社会問題化しております過労死の問題などを無くさなければなりません。

過労死の問題は先週もありましたが、東京の大庄という飲食店で23歳という若い人でした。23歳男性という若い人でも過労死の問題はあるわけですから、若い人に起こらないというのは完全な神話でしょう。若い人にも普通に起る問題だと思います。これは裁判になり、賠償額が8000万か8000万弱という金額が出ました。キャッシュで8000万というのはかなりのものだと思います。企業にとっては相当なダメージでありますし、それ以上に社会的な責任というダメージもあります。過労死は絶対に出してはいけないもの根絶すべきもので、ワーク・ライフバランスの目的として大きく謳っています。厚生労働省のパンフレットが皆さんのお手元にも届いていると思いますが、その中にもワーク・ライフバランスは何度も書かれています。これも表に出している目的です。

もう一つの目的が②番です。残業時間を含めた労働時間全体を会社のほうでまずきちんと把握して、その上できちんと管理をすることを国は企業に求めています。今回の改正の場合には具体的に規定されています。45時間超、60時間超、360時間超として具体的に時間を定められているので、これらの時間はきちんと把握しておかなければなりません。その上できちんと管理をしなければなりません。そのために45、60、360という具体的な時間を定めて正確に把握することを求めているのです。結果として、行政が今後とる可能性のある措置ですが、45、60、360という労働時間の管理をきちんとしているか否かを問うでしょう。

その下ですが、残業というのは本来あってはいけないもので、やったら罰則がくるものです。ただし、36協定があれば例外的に認められますから、36協定の届をきちんと行うことを企業には求めています。皆さんの会社は36協定は出されていらっしゃいますか。

私の感覚では、中小企業で毎年労使で話し合い後に36協定を出しているのは半分くらいでしょう。次に36協定の内容ですが、実態に則しているか否かということです。国が45時間と定めたから45時間と書いておけば良いということには今後はなりません。特別条項さえ付けておけば実態に則したものを認めると言っていますから、そうしなければ今後はとんでもない目に遭います。

2010081803.jpg

それから残業代の支払いです。適正にやっているか否かですが、これはサービス残業の問題になります。そもそも労働時間の把握と管理を事業者に求めるわけですから、労働者が勝手に行ったというロジックはもう通用しなくなります。把握しているのですから、勝手にやったということはありえません。

それから、一番深刻な社会問題化しているのは長時間残業です。長時間労働の結果、過労死をしてしまったりメンタル不全を起こしてしまうという、過労による鬱の問題です。長時間残業を労働者に強いていないかという点です。こういった点を総合的に見て、行政側は違法残業に対して厳格に臨むであろうと思われます。かなり厳格になりつつありますが、もっと厳格になると思われます。そして違法残業は完全に根絶するという宣言を法律の改正で行っています。

正直に言いまして、36協定の届け出をきちんと行っているのは全体の5割くらい、特別条項まで作っているのは全体の3%位という感覚があります。これまで行政も甘かったと思います。この点を厳しく言っていたかといえば、まずノーチェックだったと思われます。これまでは会社に対して36協定の届け出をしているかを行政が尋ね、していなかった場合にも法律なのできちんと届け出てくださいと案内するくらいのものでした。

36協定の実態が45時間と言いながら、それを超える残業があったらどうなっていたでしょうか。これについては何も(罰則は)なかったでしょう。気が付くこともなかったと思います。元々これについてチェックはしていませんでした。行政は甘かったので、結果としてサービス残業が社会問題化して、さらに過労死や長時間労働の鬱のような問題が大きくなってきたわけです。そうすると、行政もたたかれるわけです。これだけ社会問題化しているのに取り締まらないと行政が当然責められます。

今、行政をたたくのは一つのトレンドのようになっていまして、公務員は悪い奴というのがあります。その点で労働基準監督署もうかうかしていると行政は甘いとして多分たたかれるであろうと思います。ですから、法律を改正してでも厳しくするということになります。そのためにわざわざ法律まで変えました。このような行政の目的がありますので、今後は厳しく言ってくると思われます。また、甘かったところは行政もたぶん反省するでしょう。

その点を踏まえて、次の3ページです。今後企業はどうしていけば良いのでしょうか。国の目論みを踏まえた今後の企業の対応です。まず総論から入りまして、各論は後からお話しします。

企業の対応としては、大きくは残業も含めた労働時間全体を会社がコントロールする仕組みですが、この導入へ向けて取り組む機会と捉えてください。これまでは割とあいまいでした。労働時間を管理するのは会社側の義務でした。法律上は管理することが義務化されているのですが、行政も含めて割とあいまいにしてきました。

これを再認識するために、わざわざ法律を改正しました。きちんとやるように行政は一方的に言っている訳ですが、一方的に言うだけでは企業側が何をしているか分からないということになってしまいます。管理だけではなくコントロールというのは、管理するという意味はもちろん入っていますが、制御し抑制するということにもなります。

労働時間全体を企業側が管理して、制御して、抑制する仕組みを作るという目的のために、労使が話し合いをする機会だと捉えてもらえれば、今回の改正が企業の中で生きてくると思います。いままであいまいにしてきたのは、コストという感覚が企業側には少なかったからだと思います。労働力というのは、ここにも書いてあるとおり、有効活用すれば企業にとって非常に重要な、会社で最も重要な経営資源と言えると思います。

しかし、非効率な使い方をしてしまうとコストになります。賃金コストです。今回の改正では賃金コストは上がるわけです。残業代の単価が上がるということは、残業が賃金コストを上げるという意味です。非効率な使い方は企業コストの増加、経営資源の無駄遣いになります。さらに賃金コストがやっかいなのは、最優先で払わなければならないということです。当たり前と言えば当たり前のことですが、最優先で払わなければならないコストであります。

例えば取引先との間の支払い、場合によっては家賃とか、最悪の場合社会保険料とか、払えない場合やその月のキャッシュフローの面で厳しい場合は、交渉して待ってもらうことが不可能ではありません。交渉して払えないとなれば、来月でもいいとか、分割でいいです、当面待ちますという話になる可能性はあります。これは民・民の話です。あるいは民間と行政との間で話し合いをして待つ、分割するということになれば、そこに法律が入って来る余地はありません。お互いに話し合って決めたことですから。

ただ、賃金コストはそうはいきません。賃金コストの場合には法律が入ってきます。労働基準法とか最低賃金法という法律が入ってきて、たとえ労働者が分割でも良いとか1か月待つと言ったとしても、法律上は違法になるわけです。お互いが納得していても法律の規制がかかってくるので許されないことになります。

さらに、支払いはキャッシュです。手形などは無理で、6カ月のお産手形というようなものは絶対に認められません。会社の商品で払うなどの現物支給もだめです。キャッシュで払わなければならないということです。最優先で、しかもキャッシュで支払わなければならず、できなければ法律が入ってきて取り締まりになりますから企業経営にとっては大きなインパクトです。賃金コストは大きなインパクトを与えるコストであるということをきちんと認識していただいて残業コストが上がるという点については対応していただかなければなりません。

その下ですが、有効活用という意味では、今の労務管理ではないでしょうが、1分でも長く働くことを要求するような行為は有効活用でもなんでもありません。これは昔の昭和時代の労務管理です。1分でも長くはたらかせるということは、残業コストがこれからどんどん上がっていくことになります。このコストが厭で払わなければサービス残業です。サービス残業では労働者から高額な請求をされて捕まります。

さらに怖いのが長時間労働による過労死やメンタルヘルス不全です。特に中小企業の場合、会社の中で過労死を出すと絶対にアウトです。どんなに図太い経営者の方でも過労死が出ると耐えられないと思います。刑事的、民事的、社会的な責任を全部かぶることになるので相当図太くてもたぶん耐えきれないと思います。中小企業においては絶対出してはいけないことですから、効率良く働かせることにシフトしなければなりません。そのためには、画一的な労働時間制。9時から6時、そして昼休みが12時から1時、そして完全週休二日制ですが、これらが合っていればかまいません。

しかし、業種、規模、季節的な繁閑、月末忙しく月初めは暇、各労働者の職種など、それぞれの人の繁閑が違うだろうと思います。それに応じて実態に則した労働時間制というものですが、法律だけでも沢山の手法があります。様々な法律上のメニューというものもありますので、研究して導入することで従業員に効率的な労働を行わせ、結果として残業を減らし、コストを減らし、リスクを減らすというのが企業側がこの改正において取らなければならないスタンスです。

こういうお話をすると、経営者のかたは「うちはちゃんと管理しています」とおっしゃいます。ただ、それが今回の改正に対応するか否かをもう一度検証していただきたいのです。4番目になりますが、それは管理とは言いません。

残業は月間で45時間以内――多いですね。本当に良く聞きます。多分国の基準が45時間だからだと思いますが、うちの会社は45時間に抑えているという会社の場合です。ただ、今回の改正は年間で360時間で、この枠を無視することはできません。年間360時間を超えたら残業代のコストが上がるのですから。

ということは、毎月45時間ずつさせ続けていたとすると、8か月で360になってしまいます。9か月からは1時間でも残業したら単価は上がるという意味です。そうすると、今回の改正で月間45時間に抑えるということが管理とは言えなくなってしまいます。年間の360を考えてコントロールしていかなければなりません。

それから②番も良く聞きます。一定時間数以上の残業申請は認めない―― 一番多いのが、36協定に基づいて45時間を超えた残業時間を却下するが、仕事はあるのでやってもらわなければ困るというのは完全にサービス残業です。

サービス残業は本当にいけません。今回の改正の目的は違法残業の根絶ですから、罰則の対象になりますし、かなり厳しく言われることになりますから、絶対にやらないでください。後々ものすごい請求が来るということが実際に起こっています。

それから、超えた時間分を来月に付け替えている会社さんはいらっしゃらないですか。例えば月間50時間残業をして、45時間を今月払い、残りの5時間を来月の申請に回してもらう。来月の45時間の枠の中に入れるというやり方は違法です。これは給料を分割で払っているということになります。45時間分は今月払うが5時間分は来月払うという意味です。この分割払いは違法です。給料は分割でなく一括で払わなければならないと労働基準法の規定にあります。たとえ労働者が同意したとしても違法になります。罰則の対象になるということです。

それから、③番 タイムカードと残業申請書のダブルスタンダード――二つあるということです。二つあるのが駄目だということでは勿論ありません。ただし、二つあることの理由を労働者にきちんと説明しなければなりません。二つ持っている会社さんは結構あるのですが、労働者に説明をしていない結果、労働者はタイムカードで残業代が計算されると思っています。ところが会社としては残業申請がされていないものは認めないことになり、トラブルにつながります。二つあるならば、その意味を労働者に説明をしなければなりません。

一般的な会社の場合には、タイムカードは出退勤のためにあるのでしょう。出退勤の事実として多分あるのだろうと思います。朝来た時に出勤簿に判子を押すかわりにタイムカードを押すという目的で使っていらっしゃると思います。残業については申請書を出させ管理されていると思います。それは違法ではなくもちろん適法です。ただし、従業員に説明しないと問題になります。ですから、うちの会社の労働時間とは何か、残業時間とは何かを説明をして納得してもらった上で労働時間の管理をするということになります。

それから、完全タイムカード管理――これは良いことです。一番きれいなやり方です。ただ、やるのであればきちんとやらなければなりません。タイムカードの打刻は出社時と退社時でしょう。そうではなく、タイムカードは仕事を始める直前に押すものです。そして仕事が終わったら直ちにタイムカードを押すものです。これをあいまいにしたままですと、労働時間の管理ができなくなってしまいます。

例えば、女子社員の人の例ですが、朝会社に来て、タイムカードを押し、化粧ポーチを持ち、洗面所に行き、メークを直します。メークの時間は労働時間ではないはずですよね。メークの時間がタイムカードの管理の中に入ってしまうとおかしくなってしまいます。仕事が終わる時も同様で、仕事が終わって西鉄の特急まであと30分ある場合、ちょっとデスクでパソコンゲームでもしようかなと思い立ち、30分が経ちます。電車の時間が来て退社するときにタイムカードを押しますが、これもおかしい事です。

ゲームするのが良いかどうかの問題は後に置いておいて、するならタイムカードを押してからゲームをすべきです。ただ単に電車の待ち合わせをしているだけで労働をしているわけではないですから。その時間がタイムカードに入って来るとおかしくなります。メークの時間や電車の待ち合わせ時間がタイムカードに入って来ると労働時間の管理にはならないのです。

今回の改正では労働時間の管理をすることが目的ですから、労働者に説明をきちんとしなければなりません。ですから、仕事を始めるときにタイムカードを押し終わったときに押すよう指導しなければ、メークの時間や電車待ちのゲームの時間がタイムカードに入ってきてしまいますので、労働時間の管理にはなりません。こういう話は労働者に話をすればきちんと理解されます。うちの会社はタイムカードで労働時間を管理するのでメークの時間やゲームの時間を入れてはならないと労働者に説明すれば納得してもらえます。会社の言っている事の方が正しいわけですから。

ただし、無茶苦茶な事を言ってはダメです。無茶苦茶なことをすると労働者は絶対に納得しません。タイムカードの管理で無茶苦茶なことをしてえらい目に遭ったのがゆめタウンです。2か月ほど前に新聞にも載りましたのでご覧になった方もいらっしゃるでしょう。ゆめタウンのタイムカードの管理は本当に出鱈目で稚拙なやり方です。

新聞に載っていましたんがある企業ではこんなやり方をやってました。まず定時になりますと、タイムカードを全員に押させます。その後で、残業してくださいと言います。これは完全にサービス残業で、これが違法という事はパートのオバちゃんでも分かります。これでごまかせると思っている企業は本当に稚拙だと思います。おかしいということで案の定発覚しまして、大騒ぎになりまして、労働監督署が調べに入りまして「おたくサービス残業させているようですね」と聞くと、管理者の人がタイムカードを出して「いいえ、全員定時で帰っています」と言いました。

ただ、監督署が入ること自体おかしいということはきちんと分かっている訳です。従業員の証言がある訳です。管理者一人がタイムカードを出したとしても、従業員全員が「無理やり押させられていただけです。6時になれば自動的に押させられていただけです」と言えばすぐに分かります。簡単にばれるということです。

監督署も素人ではありませんから、しっかりと調べます。労働監督署の監督官の人達には逮捕権がありますから、逮捕されることもあります。実務的に逮捕されるということはないのですが、このケースの場合には任意の事情聴取という形になります。事情聴取も半端な物ではありません。監督署の机の隅で30分ほど話を聞かせてもらう程度のものではありません。朝10時から夕方4時までみっちり取り調べられます。監督署の取調室のような処がありますから、そこで取り調べをしますが、12時から1時までのお昼休みの間は外に食事に行ってもかまいません。1時になったら帰ってきて夕方4時までみっちり取り調べです。そうすると普通の労働者なら耐えられません。もちろん刑事事件の犯人で、警察の取り調べを受けることにくらべれば遥かに甘いですが、普通のサラリーマンやOLにはとても耐えられません。

この企業の場合にも結果的には耐えられずにあっさり白状して謝りました。監督署がここまで調べるにあたっては証拠もそれなりに握っています。一般的には監督署は残業の証拠を見つけるのが非常に上手いです。

サービス残業で、流通の場合、どことどこを抑えれば出てくるというのが経験値であります。このケースの場合にもありました。警備記録です。商業施設の場合は帰るときに保安室の前を通ってかえる訳です。そこで時間を書いて帰りますが、その時間とタイムカードの時間が全然違っていました。これについては説明のしようがなく、サービス残業だったと認めるしかありません。結果として発覚したということです。

このケースの場合には送検をされました。送検というのは検察庁送りです。ニュアンスとしては人殺しと同じレベルで検察へ送られるということですから相当大きな犯罪だということです。サービス残業に対するお金の支払いはもちろんあるのですが、こういう事をやると刑事事件と同じニュアンスになってしまいます。ですから、頭が悪いと思うのですが、こんな風ならタイムカードを捨てたほうが早いのではないでしょうか。うちにタイムカードはありませんと言ったほうが簡単だと思います。タイムカードがあるのに、押させて残業させるというやり方はあまりにも稚拙だと思います。

それでは次のページです。ここからは各論の話になります。改正点への具体的対応というところです。さっきお話したように、①、②、③という三つの改正点についてどうするべきかをお話します。

まず①番の、月45時間、年360時間を超える残業に対する割増率は25%超とする、という努力義務のところです。25%超とするように努めるものとします。何%にするかという規定はありません。何%にするかという点は目的も含めて労使の話し合いにゆだねるものとします。ただ、会社側が話し合いに臨む時の前提として今回の改正の目的をきちんと理解してください。

今回の改定の目的に従業員の残業代を増やすという意味はありません。企業の残業を減らすためにわざわざ残業代というコストを上げて削減を求めるのが改正の目的です。従業員としては残業代が上がれば給料が上がるのですからそれに越したことはありませんが、高い割増率を設定してしまうと従業員に対するインセンティブとなってしまいます。「45時間超えて残業するとお金が上がるなら残業しよう」という話にもなるわけです。それでは今回の改正の趣旨を逸脱することになります。

会社側のスタンスとしては残業削減です。残業時間の削減をどうするかが前提で、結果として45時間を超えるものに対する補償をどうするかという事が2番目の話です。会社側としては労使交渉でそのスタンスで臨むべきです。いかに残業を減らすか、効率の良い働き方とは何か、会社に合う労働時間制とは何かを経営者の方も勉強されて交渉のテーマとし、結果として残業代をどう減らすかというスタンスで臨まれるべきです。

次に、今回の改正に関しては厚生労働省も予算をかけて周知活動をしております。労使協定のモデルやパンフレットも沢山作っています。ホームページを見ると沢山労使協定のモデルがあります。

いくつかあるのですが、例えば月間45時間までは25%という設定にしておいて、月間45時間を超えたら30%の割増率、年間360時間を超えるものについては35%の割増率という非常にアホなモデルを作っています。これでは、45時間までが25%、45時間超が30%、360時間超が35%、さらに月間60時間超が50%と、割増率が4種類出てきます。さらに、午後10時以降の深夜残業は25%の割増を足さなければなりません。そうすると全部で8種類の割増率が出てくるという事です。

管理できないとは言いませんし、給与計算はできるでしょうが、非常に煩雑になるでしょう。今回の改正は労働時間の管理を第一に求めていますから、管理だけでも結構大変です。これに加えて残業単価の管理も入って来ると事務方はかなり大変になります。45時間超、360時間超について同一の率とするのが当たり前です。実務的には大体30%増し程度に抑えるべきだと思います。極端に高い割増率にしてしまうとインセンティブの問題が出てきます。労働者が残業の方にシフトしていくと逆になりますので実務的にはインセンティブにならないように、でも25%増しよりは少し高いようにすると3割増し位が実際のラインになるのではないかと思われます。ただ、これも労使の話し合いです。

2010081804.jpg

その次にダブルカウント問題が出てきます。これも考えなければならないことで、これを回避するために労使協定でその旨を定めるという必要があります。※印のところです。月に45時間を超え、1.3等という割合で既に高い割増率で残業代を払っている時間分、これも含めて年間の累計を出す訳です。

その結果、年間360時間を超えている部分が出てきた時には、それ以降の残業は月45時間以内でも割増率が高くなってしまうという問題が出てきます。言葉で書くと分かりにくいですが、このような事です。例えば、45時間までを1.25とします。そこから60時間までを1.3とします。年間で360時間超の部分を1.3という割増率を設定したとします。4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月というふうに、月の残業をコンスタントに60時間ずつしたとします。Hというのはアワーで時間といういみです。

次に、年間の累計を出します。年の残業時間の累計は、4月に60時間しました。5月に60時間しました。前の月と足すと120時間、180時間、240時間、300時間、360時間。このように年の累計が出てくる訳です。月の残業時間では、60時間は45時間までの部分とそれを超える15時間に分ける訳です。45時間までの部分については法定通り1.25で払います。45時間を超える15時間は先ほどの協定では1.3で払います。

このようにして残業単価を払っていく訳です。以下毎月同じような払い方をします。すると、例えば10月に1時間だけ残業をした場合、月間の残業としては45時間に収まるわけですから、ここの部分については月間の残業時間として支払えばいい。

ただし、年間の累計を出すと361時間になるわけです。360を超えた部分に対しては1.3で払わなければならないので、この1時間では月の単位では1.25増しですが年の単位では30%増しになるので、1.3で払わなければならない残業になります。これは法律上当然そうなります。労使協定で45を超えたら1.3で払い、360を超えたら1.3で払うとしている限りそうするしかありません。

ただし、年の累計を出すときに、既に高い割増率で払っている部分を含めて年の累計を出しています。そうすると、その部分は既に月の部分で支払っているので、それは除いても良いのではないか、2重に計上する必要はないのではないかというのが、ダブルカウントと呼ばれる問題です。

仮に、ダブルカウントしなくても良いということになると、年の累計を出す時にここから引いていけるということです。ここで15時間引ける、この場合には前の月に15時間ですから30時間引ける。30時間引ける。ここが45時間引ける。ここが60時間引ける。ここが75時間引ける。ここが90時間引けるというふうに考えれば、ここの年の累計は、この時点では360マイナス90ですから、ここは270になりますか。そうすると、ここは271になります。すると360を超えないのではないですか。そうであれば、この1時間は360を超えずに月間の45の中に収まっているのだから、1.25で良いということになります。

どちらの考え方が正しいかと言えば、原則的には前例の考え方が正しいです。1.3になります。ですから、45時間以内であっても年の累計を超えてしまった場合については1.3で払わなければならないという考え方になります。

ただし、うちの会社はダブルカウントをしないと予め労使協定で決めた時だけはダブルカウントしなくて構わないということになります。ですから、何も決めなければ1.3になります。うちの会社はダブルカウントをしないと労使協定で決めた時には全部引いて年間の累計を出していいのです。そうすると結果として271にしかなりませんから月の計算でも年の計算でもこれは1.25で良いとなります。

今回の改正の場合には絶対にここを意識しなければなりません。年間360に達した時点で残業単価が上がるということを意識して色々な仕組みを作っていかないとダブルカウントという問題も出てくるという意味です。これがダブルカウント問題と呼ばれるものです。

次ですが、割増を25%超にすることが企業経営上困難な場合もあるだろうと思われます。コストが上がりますと当然コストアップになります。労使が話し合いをした結果、労働者側も事情を理解したのであれば25%据え置きのままの協定、これも当然有効です。これは私的自治の話です。労使できちんと話し合いはしないといけません。勝手に押しつけたりしてはダメです。労使が話し合って、コストアップになるので今年は1.25据え置きのままでいいかという話に労働者側も納得したのであれば、当然その協定は有効になります。

ただし、やはり何らかの代償措置はいるでしょう。来年度以降は45時間を超える残業が発生しないように必要な措置を行うとか、労使で検討するとかいったような条項を含めて36協定を作って、1年間かけて残業を削減できるよう検討していくといった措置が必要だと思われます。

無駄な残業の削減は会社のためにもなりますので、労使がそのために協力するのは当然のことです。何らかの話し合いをしていただいて、来年度以降は45時間を超える残業が発生しないようにという措置は必要な点です。25%据え置きのままの協定でも有効というのは、これが努力義務だからです。お話したとおり、努力することが義務であって、しなければならないものとは違います。努力をすれば構いません。

ただし、努力義務はどの道義務になります。これは分かっています。いずれ義務にしますという法律側からのメッセージだと思ってください。何でもそうです。多分、皆さまの会社は60歳定年制でしょう。昔は55歳じゃなかったでしょうか。最初、60歳は努力義務として出てきました。女子と男子の定年年齢が違う点も努力義務で同じように引き上げるようになっていました。もう義務化されました。今は、60歳定年制は義務化で、65歳継続雇用になっています。65歳まで何らかの形で継続雇用するというのも最初は努力義務でした。最初は65歳まで働ける社会を何とか作りたいというものでしたが、後に義務化されました。

育児休業も介護休業もそうです。何でも新しく導入されたときには努力義務にしておきます。そうしておいて、いずれ義務にしてしまいますので、いずれ義務になります。その時に慌てないように何らかの対応を取っておかなければならないという事です。そうしなければ、義務として残業代単価が絶対に上がることになってきます。

次に、折衷案も当然考えられるだろうと思います。月間の45時間超については3割アップ、すなわち30%割増ですから5%上げます。ただし、年間360時間超の割増率は25%のまま据え置くというやり方です。

このやり方のメリットは、給与計算は皆さまは月で行っていらっしゃると思いますので、1か月の残業を把握するのは比較的簡単です。今の仕組みで十分できると思います。ただ、年間の残業時間を計算していくのは結構大変なことです。年間の残業時間を計算して360を超えた所から割増率を上げると、ダブルカウントという問題と、人毎に管理していかなければならないという問題が出てきますので、結構煩雑になります。

それを避けるためには、年間360時間超の部分は今までと一緒にし、特に考えない。25%のまま据え置いて、その代わり月45時間を超えている部分だけは上げるというやり方にします。例えば、これでこの1年は乗り切ることにして、来年から360時間を超える部分の管理の仕組みをしっかりと作って割増率をどうするか考えるやり方があります。折衷案としては当然このようなやり方もあると思います。つなぎ的な考え方です。

そして、②番の月60時間を超える残業の割増率を50%にしなければならない点です。これに関して中小企業は猶予されます。中小企業以外のところでは義務となります。しかし、50%以上にするということは賃金コストを1.5倍にするという意味です。賃金コスト1.5倍をかけてまで行わせる業務は相当に価値のある内容でなければ費用対効果の面ではおそらくマイナスになるでしょう。労働分配率の点から考えていただくとすぐに分かると思います。通常の企業の労働分配率は大体6割程度です。

そうしますと、月60時間を超える仕事によって生み出される利益は、全てその労働者の賃金になるということです。これが1.5倍にするという意味です。1.5倍をかけてまで行わせることは、利益の殆どが人件費ということです。企業としては何をしているか分からないことになってしまう可能性はあります。仕事が目の前にあるのに、コストが高いので放り出せという意味ではもちろんありません。その仕事が通常業務の場合については、そこで生まれる価値はそのまま給料に行くということです。

ですから、考え方としては、通常業務としては60時間超の残業はあってはならないものです。あってもそこで生まれる利益は会社の取り分が全くないものです。そのまま労働者の人件費として行ってしまうものだと思ってください。そうしますと、60時間超の残業は企業としてはやはりあってはならないものでしょう。それを抑制するために、やり方は色々あると思います。みなし労働時間制とか、変形労働時間制、また新しい仕組みで代替休暇制度。実務的には非常に使いにくいものですが、使いやすい企業さんもあるかも知れませんので、こういう仕組みを有効活用する必要があると思います。

特に中小企業に該当されている皆さんには3年間の猶予がありますので、3年間の間に月間60時間超の残業時間をなくすためにどうするかに取り組むべきだと思います。とりあえず先送りではなく、ここから取りかかっていただきたいと思います。その次のページが代替休暇制度とは何かです。ここは制度の説明をしておきます。基本的なスタンスとしては60時間超の残業はあってはならないものです。緊急避難的に使っていただければよろしいかと思います。③の代替休暇制度です。与えるべき休暇時間をどう計算するかです。

60時間を超えた残業時間掛ける、法定の割増率が1.5ですから1.5、マイナス45時間超60時間までの割増率。これはその会社で協定した割増率になります。これを差し引いたもの、これを60時間を超えた残業に掛けて差額を出して時間換算するというような意味です。

例えば、80時間の残業をしました。45時間超60時間までの割増率を1.3にした会社の場合、60時間を超えた残業が20時間発生していますから、20時間×1.5-1.3です。1.3というのがそこの会社での割増率です。そうすると0.2が出てきます。0.2×20です。そうすると4時間が出てきます。この4時間が代替休暇時間となります。45時間超の割増率も法定の25%、1.25のまま据え置いている会社もあると思います。

据え置いている会社の場合は1.5-1.25になります。0.25ですね。0.25×20時間ですから5時間です。5時間分の休暇を与えなさいということになります。ここでお気を付けいただきたいのは、この休暇を与えたとしても、45時間超の部分はすべて1.3の割増率で残業代を払う必要があります。80時間まで、80時間の残業については20時間の部分についても1.3で払わなければならないのは当然です。1.5にしなくて良いだけです。1.3の部分だけを計算の基礎から除いている訳ですから。1.5にはしなくて良いですが、1.3では払わなくてはならないという事です。

人件費コストが上がるのは間違いがなく、代替休暇を与えても同様です。代替休暇の単位ですが、代替休暇であって休憩ではありません。これは、1日、最低でも半日の単位で与えなければなりません。

例えば半日付与の場合で、9時―6時、昼休みが12時から1時の会社なら、午前が3時間労働です。午後が5時間労働です。ですから、3時間たまったら午前中休んでも良い、5時間たまったら午後休んでも良いという仕組みにしてしまうのか、または、4時間たまったら半日休んでも良く、その半日は午前でも午後でも労働者が自由に決めて良いということにするかですが、その場合は多分午後を選ぶでしょう。5時間休めますから。また、午前中朝寝坊したい人は午前中になるでしょう。それは労働者が自由に決めて良い制度にするか、どちらかは会社の中で決めてください。これは労使協定になります。

2010081806.jpg

例えば、一番上のケースで言うと、月間80時間程度は残業しないと休暇には振り変わらないです。月間80時間残業してはじめて4時間でてくるわけで、ようやく半日になります。月に80時間の残業って結構なものではないですか。実務的に出てくるかという問題ですが、1日休もうと思ったら多分100時間残業しなければならないでしょう。月間100時間残業しては絶対にいけません。100時間残業して労働者が過労死したら絶対に会社の責任になります。そのような事はあってはならない事で、基本的にそこまでの休暇を与える残業はやはりあってはならないものです。代替休暇に振り替わるものであれば、もともと80時間くらいのレベル、1日休みなら100時間くらいのレベルということなので、無くしていくべきものです。

その下の代替休暇制度。あくまでも労働者の意向によって取得するもので、労働者が取らないので残業代として欲しいという場合には残業代で払わなければなりません。

意向確認の意思とか方法は、労使協定として会社の中で決めてください。実務的には、多分お金でもらうと思います。会社の中に有給休暇は今でもあると思います。しかし有給は取れていないでしょう。大体の消化率は5割くらいでしょう。5割に達していれば優秀でしょう。全国平均でも4割ちょっと位です。有給休暇も取れないのに代替休暇が取れるかという話になりますから、実務的にはお金でくださいという話におそらくなるでしょう。会社の中で代替休暇の促進制度のようなものをある程度作っておかないと消化するのが実務的には難しいと思います。

それから、代替休暇は2カ月以内です。賃金の締切日で月間の残業時間を出しますから、締切日の翌日から2カ月以内に取らなければなりません。2か月以内に消化するという点でも取りにくいと言えば取りにくい。さらに、管理していく部分も含めるとなかなか実務的には使いにくいという気がしなくもありません。

その次の法改正を踏まえた管理ですが、今後どうするかというお話です。大前提は効率良く働かせるということです。そのために、まず残業時間の把握ですが、月間・年間の残業時間の実態をきちんと把握してください。時間数はもちろんですが、いつが多いのか、何月になると多くなるのか、あるいはどうして多いのか、どこが多いのか、どの人が多いのか、どの部門が多いのか、どの人に過重な負担がいっているのかという部分もきちんと把握をしていただかなければ仕組みの作りようがありません。我々も仕組みの作り方について相談を受けますが、その前に、どの時期、どのセクションが多いかを把握しないとなかなか話を作れません。実態を把握していただかないと、なかなか実態に則したものは作りにくいと思います。

それによって、全体でコントロールするということですから、繁忙月は例えば60時間にしてその代わり暇な時期は0時間を目標にします。あるいは、忙しい月を45時間、暇な月を15時間、決算の月が60時間、その翌月は0時間など、1年間の枠のなかでの割り振りを考えて結果として360に収めるにはどうすればよいかというお話です。360に収めるためにどうコントロールしていくかというやり方をしなければなりません。仮に360で収まらないようであれば、そこに変形労働時間制とかみなし労働時間制というような仕組みを導入していって360で収める方法を考えることが、今回の改正を有効に活用する方法です。ちょっと面倒だと感じることはあると思います。ただ1回やれば必ずできますし、必ず残業代は減ります。コストは絶対減ります。そして労働者も喜びます。国の流れにもあいます。誰も損はしません。誰も損はしないので、1回やってみることを是非おすすめいたします。

それから、残業については申請方式がサービス残業を解消するためにはベストなやり方だと思います。管理するためには、やはり申請とか命令といったアクションをしなければなりません。命令方式でも別に構いません。労働者からの申請でも会社からの命令でもどちらでも構わないのですが、ノーチェックでさせないという事が大切です。ノーチェックのままで残業をさせると残業がずっと増えていくということになりますから、申請にせよ命令にせよ今後はコストがかかることを前提にして、コストがかかることをやりますと労働者の方から宣言していただく必要はあるでしょう。そのためには、まず不要な残業はなくしていく事を労使のテーマにしていただきたい。

その上で、必要な残業であるかどうかを労働者が申請書を書くときに自らチェックします。これは出しても良い必要な残業であるか否かを労働者はチェックをします。その書類が上司に回ってくれば、上司が許可を与えるときにチェックをします。上司のチェックでは、なぜ残業が発生するのかをチェックしなければなりません。上司の指示の出し方が悪いというケースは結構あります。

あるいは、特定の誰かからだけ上がってくれば、特定の誰かに過重な負担がかかっていることが分かります。そのような点でチェックをするというやり方があります。あるいは、その労働者の能力が低いことも勿論あるだろうと思います。ただ、何らかの方法でチェックして、そこを改善していけば良いだけの話です。そのために、申請方式にしてきちんとチェックし実態を見る事が大事だと思います。

それから、チェックをする場合に、月間45時間とか30時間という枠があるために、賃金締め切り前になるとチェックをし始めることが多いようです。そうではなく最初からしてください。今月は45時間の枠に近いからということではなく、最初からその残業はどうなのかをチェックしなければなりません。

次に、残業をしない風土づくりです。就業規則のなかで、付き合い残業、例えば上司が帰らないと帰れないという事や、電車の時間待ち、または、明日でもいいが今月は子供に仕送りがあるので残業代を稼いでおきたいという場合の残業といった不要な残業は会社としては禁止しますと就業規則などのなかに設けておいて、労働者にきちんと周知をしてください。

今回の改正が機会になります。今回の改正で労働時間の管理を求められ、不要な残業を削減するのが法律の目的であるということは当然労働者も理解できるでしょうから、そのために不要な残業の削減を会社の考え方として宣言をしていただきたいと思います。それは明確に打ち出す必要があります。

次に、労使の話し合いや職場内の提案制度などで残業削減へ向けた取り組みを具体化して挙げていただきたいと思います。一時、QCとかTQCとかZD等が随分と流行りました。こういった職場ぐるみの運動はやることに意味があります。

これらをすることによって、労働者の方でも残業削減を意識して働かなければならないとテーマとして理解することができます。そうすると不要な残業は必ずなくなります。

そのための取り組みの例をいくつかご紹介しておきます。残業ゼロ革命として、19時には一斉に庁舎の消灯をしてしまう。神奈川県庁では7時になると庁舎の電気が全部消えます。7時になったら電気が消えるので、仕事を放り出して帰れという事かというと、そういうことではありません。これにはきちんと目的があります。私も良く提案するんですが、例えば7時になったらコンピューターの電源を落としてもうサーバーにはアクセスできないようにしなさいと、就業規則の中に謳いなさいという提案もよくします。これで何をしたいかというと、意識してくださいということを言っています。

例えばこのようなセミナーでもそうです。このセミナーは15時半までなんですが、あと時間は10分しかありません。仮に、15時半までのセミナーで時間がきたら電気が全部消えますと私がもし言われていたら絶対に何が何でも15時半までに終わらせます。そうしないと電気が消えますから、一番最初から頑張ります。結構早口ですがもっと早口になります。とにかく絶対に3時半までに終わらせないと電気が消えてしまい話はできません。これを最初から意識します。労働者も一緒です。7時になったら電気が消えるという事を言っておけば、そこまでには絶対に終わらせなければならないと労働者は意識します。そうすれば、朝からするんです。朝から7時までに絶対に終わらせる仕事の段取りをちゃんと考えます。そのためにわざわざこんな事をやっているのです。

しかし、いきなりは切り替わりません。神奈川県庁の場合も段階的にやります。5月が週に1回、6月7月が週に2回、8月から毎日と段階的にやっていき、少しずつ意識付けをしていきます。7時になったら電気が消えるのでそのために朝から頑張ると労働者が意識することが目的です。

7時になったら仕事を放り出して帰れというわけでは勿論ありません。当たり前ですが労働者は真面目です。7時までだらだらやって、7時になったら仕事を放り出して帰るなんていう人は絶対にいません。それは7時までに終わるようにちゃんと朝から頑張ります。そういうやり方は有効で、風土づくりだと思います。

次に、16時以降は新たな業務の指示は出さない。夕方以降に新たな業務の指示が出てきてしまうと、それをこなすためにどうしても残業になってしまうということです。これはどこかは忘れましたが実際に導入されている市役所の例です。この場合は上司が意識をします。4時までに仕事の指示を出さないと、それ以降は出せなくなってしまいますので、朝から仕事の段取りをちゃんと考えます。すると結果として残業は減ります。

次に、残業削減に対する労働者の取り組みの促進。削減できた残業代の一定率を賞与などで還元するというやり方です。例えば、年間の残業代1000万が500万になった場合、浮いた500万の3割を労働者に決算賞与で渡すという方法です。

この制度の目的は、残業代というお金がインセンティブになっている可能性はあります。残業代を稼ぐために残業するというのがないとは言い切れません。そうすると、それをなくすためには、同じお金のインセンティブを与えればいいのです。同じお金として残業代ではなく期末賞与や決算賞与というお金で返すということです。残業代というインセンティブが期末賞与というインセンティブに変わります。それをもらえるのならば、残業削減に頑張ろうという気になるのです。結果として取り組みが促進できるという事です。

それから、長時間労働をプラス評価する。これは昔の労務管理でしょうが、2重のインセンティブになる危険性があります。長時間労働については、残業代というお金を一度会社は払っています。しかも割増で払っていますので、その部分は補償されています。そこが補償されているのに、評価の部分でも上にあげてしまう、長時間労働をしているから昇進・昇格させるという話になると、ここでもインセンティブになります。

すると、残業代というインセンティブと、昇給・昇格というインセンティブとで、二つのインセンティブになってしまいます。結果として残業すれば残業代がもらえて、なおかつ会社でえらくなれるし給料が上がるとなれば、残業は削減されません。残業の抑制にはつながりません。これは2重のインセンティブとなりますので避けなければなりません。

その他にも色々なやり方があります。企業さんでも色々な取り組みをされていまして話始めるときりがありませんので、一つ面白いデータを見つけたのでご紹介をしてお話を終わらせていただきたいと思います。

皆さんはネットショッピングをされますか。Yahooとか楽天とかネットで物を売り買いするというものです。ここで一番売り上げが上がる曜日をご存知ですか。一般的な感覚では日曜日だと思います。よくご存じですね、水曜日です。

なぜかと言うと、企業がノー残業デーとして指定するのは水曜日が一番多いからです。残業がなくなると家に帰ってネットショッピングでもしようかという話になるのだそうです。今、水曜日の売り上げが一番高く、去年あたりから日曜日を抜きました。色々な所が水曜マーケットを狙っていまして、スポーツ・ジムは水曜日の来店数が一番多いです。英会話学校の予約も水曜日の予約が一番埋まるのだそうです。

なぜかと言うと、ノー残業デーだからです。つまり、ノー残業デーのようなもので残業削減の取り組みを色々な企業が既にやっています。こういうデータを見ていただくとわかるのですが、ノー残業デーも一つの取り組みですから、皆様方も是非残業削減に取り組んでいただいて今回の改正を有効にご活用いただけたらと思います。

最後になりましたが、今回の改正は労働時間と賃金に関する改正です。当然ですが、就業規則を改定しなければなりません。

就業規則の改定や、どんな労働時間制が良いのか、労使協定はどうやって作れば良いのかというご相談があれば、是非、商工会議所の方を有効にご活用いただければと思います。私も商工会議所ビルの2階にある経営相談窓口で担当しております。月に1回ですが、たまたま来週の今日の担当です。電話でご予約いただければ相談対応をさせていただきます。

私以外にも税理士、診断士、弁護士といった専門家が経営相談窓口を担当しておりますので、そちらへお電話をいただき予約の上でそれぞれの専門家が対応させていただきます。私の場合は第2水曜日になります。この時にお電話いただければ対応いたします。

では、以上ですが、大変早口でお話しました。聞き取りにくい部分があった場合には、商工会議所の経営者向けのポータルサイトで経営オンラインというものがあります。入口に経営オンラインのチラシを置いております。このセミナーの内容は全文が経営オンラインに掲載される予定です。

実は3月にサービス残業対策セミナーをやったのですが、そちらもオンラインの中に入っております。例えば19時になったらパソコンの電源を全部落とすなど、実際の就業規則の作り方も載せておりますので、そちらの方も参考にしていただければと思います。ちょうど時間になりましたので、お話としては以上とさせていただきまして時間がすぎるかもしれませんが何かご質問があればお受けしたいと思います。

添付資料(印刷用にご利用ください)

shimamura.jpg

島村 進(しまむら すすむ)

社会保険労務士

1961年神奈川県生まれ。近畿大学法学部法律学科を卒業後、広告代理店入社。その後、経営者団体相談員を経て、平成8年、社会保険労務士試験合格。平成11年、福岡総合労務管理事務所設立。通常の社会保険等の手続き業務に加え、企業防衛のための就業規則の作成など労務管理に関する法的整備のコンサルティング、事業承継・事業再生における労務問題対応、労働者・退職者との労使紛争解決支援、訴訟対策支援など、企業における労務の「困った」の解決に力を入れている。
日時・場所

2010年6月2日(水)
14:00~15:30

福岡商工会議所 505号室
博多区博多駅前2-9-28

TEL 092-441-2161

JR博多駅博多口より徒歩約10分
地下鉄祇園駅5番出口より徒歩約5分
有料の立体駐車場がございます。

参加募集中のイベント

お問い合わせください
募集中イベントについては、窓口までお問い合わせください。
電話 092-441-2161 まで

関連記事

記事ランキング