「後継者よ!創業者となれ!」(2009/09/08開催)

「後継者よ!創業者となれ!」(2009/09/08開催)

革新的な経営に取り組み、バネに特化した『日本一の町工場』を目指す経営者。33歳で2代目社長となり、これまでの下請けから脱却するため、町工場が本来もっていた機能を回復させ、社員に夢を持ってもらえるよう、様々な社内改革を実施し、『日本一の楽しい会社』として注目を集めています。どんなことでも一番に認定した社員には、取引先で嫌いなお客様を切る権利を与える「ご褒美制度」を導入したり、就業時間内に工場の機械を自由に使って、自分の好きなモノを製作する権利など、ユニークな方法を取り入れたりすることで「楽しい職場作り」の実現しました。小規模経営であっても、社員一丸となって頑張れば全国展開が可能であることを実証し、最大の経営資源であり、貴重な財産である社員にとって、働きがいのある会社、夢を持てる会社作りを目指し様々な改革に取り組んでいます。

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事業承継 地域力連携拠点事業

はじめまして。ただいまご紹介にあずかりました、中里スプリングの中里と申します。本日はお招きいただきありがとうございます。今日は私自身が経営者としてやってきたこと、感じたことそしてこれからやろうとしている事について、本音で話をさせていただこうと思います。小さな会社の経営者としては現役のプロでありたいと思っていますが、このような華やかな場所での、ひと前での話となると、アマチュアレベルもいいところではないかと思っております。今日はお集まりの皆様にも、解り辛い点、聴き辛い点が多々あるかとは思いますが、しばらくの間お付き合いいただければと存じます。

それでははじめに、私の経営する会社の概要等から順次話をさせていただきます。私の会社は1950年、昭和25年に設立しております。事業所は群馬県にあり、事業内容はスプリング、ばねの設計・製造・販売を行っております。資本金3000万円、社員数(今日現在)21名となっております。また、当社は「仕事を楽しむ」という事業のコンセプトの基、「遊、機、質」という3つの事業分野にての展開を進めております。
3のコンセプトのはじめにある、「遊」は、遊び心夢のある分野ということで、インテリア用品やアクセサリー、ファッション雑貨といったオリジナル商品をこの分野として位置付けております。具体的商品としては、本日皆様のお手元にあります、スプリング(ばね)で作ったキーホルダー、あるいは頭の体操(知恵の輪)といった小物の商品があります。これは当社の入社7年未満の20代若手社員が、腕や知識は未熟ではありますが、自分たちのレベルで出来るものづくりを行いたい、という思いから生まれた商品の一つです。

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2つ目の事業分野である「機」は、高機能を付加する分野になります。この分野は受注品100%、いわゆる下請け仕事になります。現在この分野を大きく2つに分けており、一つはお客様より図面やサンプルをお預かりして作りこみをする分野、そしてもう一つは、新素材、新技術、新技法を多用しての提案型・共同開発分野等がございます。近年開発した商品の一つに、医療用バネといものがあります。これはあるメーカーより依頼を受け、開発・完成までに2年ほどかかりました。脳手術を行うときに血管を一時留め置く止血クリップがそれです。まだまだボリューム的には小さな反中ではありますが、当社のような町工場にとっては、非常に付加価値が高い、楽しみの持てる商品分野になっております。

3つ目の事業分野「質」は、高品質を提供する分野になります。この分野には、100%の自社製品であり、100%の社内生産を行う当社のスプリング「ナスパックシリーズ6800」20種があります。この分野は本当にささやかではありますが、この分野が私の会社を下請けからメーカーへと変化・進化させてくれた商品になるかと思います。以上が大雑把な当社の現状です。今度は少し違った角度から、私が小さな会社に入社した当時から現在に至るまでの流れ、変化等についてお話したいと思います。

まず私の入社のきっかけは、あれこれあっという間に30年以上も経ってしまいましたが、その当時は受注生産100%でありました。1~2の特定のお客様の依存度が高い、典型的などこにでもあるような下請け工場でありました。そんな下請け工場にオイルショックが大きなダメージを与えました。主力商品の大幅減産・削減、そして主力クラスのお客様の倒産の多発など、これらをきっかけにオイルショックからわずか2年足らずの間にピークと比べて、売上が半分、三分の一以下に激減してしまった事実がございます。そのような事から、当時の経営者である父の経営意欲の減少・減退が顕著に現れておりました。当時の私は学校を卒業後東京で商社マンをしておりました。オイルショック以降、厳しい環境ではありましたが、一流企業と呼ばれる方々と折衝できることの満足感、金額の大きな仕事を任されているということへの充実感、これらのことから、仕事の面白さややりがいを大きく感じていた時期でもありました。そのような時に父からの相談を受け、私なりに小さな会社に飛び込んでいきました。私なりに、ある程度覚悟して小さな会社に飛び込んで行ったつもりでしたが、会社に入ってみると現実問題として、驚くようなことばかりありました。町工場の現地とういうものを思い知らされた気がしました。

いろいろな驚きがありましたが、私が大きく驚いたことが3つあります。まず一つは社員のレベルの低さです。私が想像していたレベル以上に、社員の技術レベル、管理レベル、共に最低水準にも満たなかった、ということがあります。当時の私にとって何よりも驚いたこと、ショックだったことは、そのような小さな会社で働いている社員の(ある種)心の貧しさ、この心の貧しさというのは救い難いのではないかと感じてしまったということがあります。二つ目として驚いたことは、親会社、お客様のレベルの低さということがあります。当時特色ある製品作りを行うお客様は一件もなく、ほとんど地元中心、群馬県の一部地域にあるお客様であり、そのお客様というのも、今でいう3次・4次・5次下請けでそのお客様も12~13社しかなく、ある種成長の期待というものが全くもてないお客様であったことに大きな驚きを覚えました。三つ目として驚いたことは、経営者のレベルの低さです。職人気質で「作れば売れる」「仕事をやってやるんだ」という時代錯誤の感覚が捨てきれず、変化するす時代に、打つ手段もわからず、場当たり的な経営を行っていたことに、大きな驚きを覚えました。

このようなことから、当社には、当時の同業他社と比較して、俗にいうところのストロングポイントと呼べるものが何一つありませんでした。本当に必要とされる会社、存在感のある会社になれるのだろうか、と私なりに危機感を感じた瞬間でもありました。そのようなことから、なりふり構わず、町工場の経営をがむしゃらに取り組んでいきました。私なりに3つの目標を設定しました。まず一つが社員の再教育と入れ替え。一つは親会社・お客様の総入れ替え。一つは経営実験の早期交代。この3つにポイントを絞り改革を進めていきました。

私なりに、その改革のために実行したことが7つあります。まず一つは社員の意識を変えるために「残業の廃止」を徹底して実行しました。社員には「忙しい」=「儲かる」ではないことを認識させ、「生産性を高めることの大切さ」「仕事意識」「コスト意識」を徹底して教育していきました。残業はしない、させない、する必要がない、ということです。

二つ目の改革実行は、「親会社(お客様)の分散化、高度化を積極的に進める」ということがあります。出来るだけ、多業種、多業態のお客様を確保していきました。大黒柱一本に支えられているような、見てくれの良い家作り、会社づくりではなく、間柱を出来るだけ多く使用した頑丈な家づくり、会社づくりを目指しました。また、この親会社の分散化、高度化という中で、特徴的な戦略として行った事の一つに「(お客様の)支払い条件日が異なるお客様を意識的に開拓する」ことが挙げられます。これはどういうことかというと、今でもほとんどの中小企業の場合、一か月の生産・販売に対する入金・集金というのは毎月20日や月末と、月のうちの1日か2日に資金が集中しているかと思います。ただ、このようなケースを当たり前のように続けていると、何らかの事情により予定していた入金日が一方的にずれ込んでしまったり、また予定していた金額が一方的に親会社の都合で減額されてしまったり、またあっては困りますが親会社の不慮の事故等により全く入金があてにできなくなったりと、小さな会社にとっては資金繰りやその存続において大きな危機となってしまします。そのようなことから、「日銭のはいる商店経営の感覚」を、私なりにものづくりに取り入れていきました。具体的に今日現在当社のお客様の支払い条件、支払条件日だけを見ると毎月3日、5日、6日、7日、10日、15日、16日、20日、25日、28日そして月末と、金額の大小はまちまちですが、一か月に11回、五月雨式にお客様より入金・集金させていただいております。支払条件日の違うお客様を確保するというのは、言いかえると企業規模の異なるお客様を出来るだけ数多く持つことと解釈していただけると、少し話が見えるかと思います。

三つ目の改革実行は「特色ある設備の積極的に導入」です。これは同業他社にない、大きな物を作る機械、もしくはその反対の小さな物を作る設備といった具合に、ある種ボトルの上と下、前後2割だけの仕事に特化した設備投資を重点的に行っていきました。こうすることによって、同業他社との差別化ということを明確に打ち出していきました。

四つ目に改革実行したのは、「財務内容の強化」です。私が入社した当時は資本金50万円の町工場でしたので、小刻みに増資を行い現在の3000万としております。また当時1か月、2か月先の生産計画、資金繰りというものがキチンと立っていない小さな会社であるにも関わらず、一部とはいえ支払に120日の自己保有手形を切っていたということがあります。そういうことから、「手形の100%廃止」「支払の100%現金化」を進めていきました。

五つ目として改革実行したことは、「会社案内」「製品カタログ」といった営業資料の作成を行い、新規取引先にアピールしていきました。逆にいうと、私が入社した当初はA4の書類らしい書類は1枚もありませんでした。

六つ目の改革実行は、「特殊材の加工にチャレンジ」して行ったことです。これはある面私が素人で怖いもの知らずだからこそ出来たのではないかと思いますが、他社がやりたがらない素材、形状、加工法案といったものに積極的に取り組んでいきました。こうすることにより、お客様には3年、5年、10年後の当社の商品や企業の発展性というものを感じていただきたいと思いから実行していきました。

七つ目として改革実行したことは、「アドバルーンを上げる」ことです。これは今でも思いますが経営者・後継者にとって、最も大切なことだと信じています。経営者としての私の夢を毎日のように社員に語りました。私と同じ夢を見ることができる社員を順次入社・昇格させていきました。

このような7つの改革を実行・実践することにより私の経営目標である、「小さくても比重の高い会社づくり」を目指していきました。ただし、これらのことを実行してきた過程で、ある種いつも考えていたことは「下請けというのは計画的な会社運営はやり難い」と言うことです。どうしてもお客様の生産動向、景気動向、販売動向に左右されすぎる現実があります。そのようなことから、自社製品の開発、これらの必要性を強く感じて製品開発に取り組んでいきました。とはいうものの、製品開発というのは、どのような商品をどのような手順で、どのような段階で進めていけばよいのか、どちらの会社でも悩むことだと思います。私の考えでは、自社製品の開発というのは、大きく4つのステージとサイクルによって行うべきだと考えます。

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まず、第一ステージは、「発想期」で、これはアイディア・企画の段階です。次に第二ステージは、「テスト期」で、これは自分たちで考えた自社製品が、本当に売れるものかどうかテストする時期のことです。第三ステージは、「普及期」で、実際に市場に自社製品を普及させる時期のことです。第四ステージは、「拡大期」で将来の夢や構想を現実化していくための時期です。自社製品開発はこの4つのステージのサイクルによって行うべきだと考えております。
自社製品をこのステージに置き換えて話ができればより解り易いかとは思いますが、時間の関係上、各ステージで大切なことを一言ずつ、簡単に触れてみたいと思います。

まず、第一ステージの「発想期」で大切なことは、自社製品開発というのは、あくまでも各々の自社の設備だけで開発できるものにターゲットを絞り込むということです。当初仕入が20%以上発生する自社製品開発は100%失敗します。

次に、第二ステージの「テスト期」に大切なことは、自社製品開発はあくまでもお客様本意で考えることが大切で、経営者・管理職としての自分はその感性を信じ決断力を持つというのがこのステージのポイントです。今まで誰もやらなかったこと、考えなかったことを新しくやろうとすれば、反対はつきものだと思います。くだらない反対に意思を曲げているようでは、経営者・管理職失格ではないかと私は思います。

第三ステージの「普及期」では、売り手、作り手の効率は、買い手であるお客様の要望を満たしていないということに早く気がつくべきレベルであります。バリエーションを考えるということが大切で、お客様には多くの品物の中から、これを(ひとつ)選んでいるという満足感、充実感を味わってもらうことがこのステージのポイントです。

第四ステージの「拡大期」では製品の役割の変化というものを掴み、商品というのは常に進化・変化させていくものだという感覚を身につけることが、勝利の方程式だと思っておいます。良いアイディアに頭数は必要ありません。すぐれたヒット商品を数多く打ち出している大手メーカーを見ても、だいたいヒット商品を生み出せる、考えだせる人というのは、どの会社、どの組織においても1人か2人しかいません。人が多くなればなるほど、水と同じで水準の低いところ、レベルの低いところに考え方が集中していくと思っています。独自製品開発というのは、小数でやるべきものであり、質より量の会議で皆が納得する商品では、当たり前のディスカウント商品しかできないと思っています。ですから、中小企業の小さな会社においては大手のそれよりも、自社製品の開発はやり易い、恵まれた環境にあると思うことが大切だと思っています。

それではそういった小さな会社が自社製品をもつことにより、どのようなメリットがあるかというと、大きく分けて3つあります。

まず一つに、「新規取引先の増加」ということが挙げられます。私の会社を例に話をすれば、当社が下請けだったころは、お客様は地元群馬県の一部地域にある12~13社でした。しかし、現在は全国44都道府県、9月1日現在、1309 社と膨れ上がっております。一部、二部、店頭登録といった大手企業あたりでも20~30社と直接口座を開いていただいております。

二つ目のメリットは、「ロスの削減が無限大」ということです。当り前のことながら、材料や時間のロス削減によって大きな減少、コストダウンが図れます。受注の合間、あるいは社員一人一人の技術力の差による生産量のバラつきを簡単にレベルアップさせることができます。

三つ目のメリットは、「従業員の意識改革」ができるということです。以前は「下請け」ということでの社員の心の貧しさが見え隠れしていましたが、少しずつではありますが、自社製品がお客様に浸透していく過程を社員一人一人が実感・体感することによって、社内の活性化につながっております。こういうことから、自社製品というのは最高の営業マンになると考えております。特別な営業、宣伝をしなくても、自社製品というカタログが勝手に一人歩きしてくれて、ある種、ブーメラン効果というのかもしれませんが勝手にお客様を連れて戻ってきてくれる、ということがいえると思います。だからこそ、自社製品に対して要求されるものとして大切なことは、「当たり前の発想のモノマネ商品」ではなく、他社が「やりたくてもやれない商品」を開発するということです。もちろん良いことばかりが自社製品ではありません。いろいろな問題が起こってきます。小さな会社は普段から自分達が扱っている商品の適正価格というものを考える習慣が実質ほとんどありません。ゆえに、1~2つの自社製品を作ると、できるだけ高く売らなければ損をしてしまうという貧しい感覚の経営者が多いと思います。また、納期一つをとってみても、お客様の要求を「無理を聞いてやってあげているんだ」という感覚の、「勘違い」した方も多いと思います。自社製品の単価・売価というのは、自社で売りたい値段をつけるという感覚ではなく、お客様の感覚、価値観で決めるべきものであり、お客様が「買いたいな」と思わせる値段をつけるべきだと思っています。また、納期に対しても、お客様が欲しいと思った瞬間、その瞬間に製品を手元に供給する、それが本当の技術であると考え、自惚れをなくしていくべきだと思っています。技術というのは何も難しいもの、ミクロの精度を出すものが技術ではありません。お客様が自分の会社に何を望んでいるのかを読み取るのも技術、という捉え方が必要です。21世紀だからこそ、メンタル面の技術力アップを図るのが中小企業必勝発想方だと考えます。

もちろん良いことばかりではなく、いろいろな問題が起こってきます。私の会社では自社製品開発に失敗しないために、3つのキーワードによってチェック機能を働かせております。一つは、自社製品は良い製品だと疑わない思いこみ、一つはその自社製品が売れない製品だということに気づかない思い違い、一つは自社製品が売れることしか考えない思いあがり、この3馬鹿の思いを捨てることが失敗しないための原則です。話は少し横道にそれますが、この3つの思い、「思いこみ」「思い違い」「思いあがり」は私を含めた馬鹿な2代目経営者に多く当てはまると思います。2代目・3代目経営者が「自分は頭が良くて偉い」という馬鹿な思い違い、「2代目・3代目の自分の会社はすごいんだ」という馬鹿な思い込み、「2代目・3代目の自分の会社の社員は役立たずしかいない」と考える馬鹿な思いあがり、共通点は多々あるように思います。

いろいろな場所でいろいろな方々とお会いしてよく思うことですが、多くの経営者は2代目・3代目、管理職を問わず、共通しているのは、経営についての勉強、仕事についての勉強というのは、それなりに熱心にされますが、大多数の方はそれを知識として知っているだけで実践されていない、実行できていないと思います。つまり、勉強するということだけで自分に満足しているのではないでしょうか。なぜならば勉強しているときというのは自分のプライドを保つことができます。しかし、勉強して覚えた事を実践・実行しようとすればプライドを壊されるということが解っているので、怖くて何も判断・行動できない方が多いのではないでしょうか。経営者・管理職にとって必要なこととは、価値のない、お金にならないプライドにしがみつくことではありません。自分で自分のプライドを壊す努力をしない限り、全ての行動がマイナスになってしまうと思います。よく学生時代に「頭の良い人は社会に出ると出世できない」と言われていました。これは頭の良い人たちというのは、あまりにも先の先まで考えて、「うまくいかない」という結論を自分自身で出してしまい、何の行動もとらないからではないでしょうか。私のたった一つの趣味である「将棋」に例えると、3手先の読みで勝負して勝利すべきだと思います。つまり俺はこういう風にやる、そしたら相手はこう来るだろう、そうしたら俺はこう受けて立つ、いつも相手の倍を考えそこまでやってみるということです。先を読んで、またその先を読むことが実力ではありません。自分の有利なところを確実に一歩二歩、歩みを進めるということが大切だと思います。読みを途中で打ち切るということが出来るのも、実力があればこそだと考えます。自分が負けるところまで先を読んでも不幸になるだけではないでしょうか。自分が負けるところ、上手くいかないところまで先を読んで何もしないという人たちと、たとえわずか一歩・二歩・三歩でも、希望を持って先に前に進む人では、5年、10年、20年という長いスパンで考えると、大きな違いとなって表れてきます。極論を言えば、そのわずかな違いで勝つ人、負ける人、成功する人、失敗する人に分かれると思っています。経営者・管理職にとって必要なことは、まず理論よりも実践することだと思います。考えて上手くいかないのであれば、考えて、考えて、考え抜けということです。思って終わるのではなく、思って、思って、思って、思い抜けということです。やって終わるのではなく、やって、やり抜けと言うことです。自分の考え方・行動に「抜く」ということをトッピング出来ると第二の人生を楽しめると信じています。

これからは、小さな会社だからこそのイメージアップ作戦が非常に大切だと思っています。皆さんは自分の会社・自分の仕事をPRする為に今まで一体どのようなやり方をとってきたか、一度振り返っていただければと思います。いろいろなやり方があると思います。

一つは、新聞雑誌等に広告を掲載して社名を広めていく、一つは新聞・雑誌等に取り上げられる話題を提供していく、一つはインターネット、ホームページ等でアピールしていく、一つは口コミで広めていく、このくらいのことは、誰でもお考えだと思います。私が今日お集まりの皆さんに是非やっていただきたい、絶対やるべきだと思う方法は、お金をかけずに行う新聞雑誌メディア媒体の活用です。そのようなことを言っても、新聞・雑誌に取り上げてもらうような話題などない、とお考えの方も多数いらっしゃるかと思います。私の会社でも、今から20年、30年前、会社にまともな事務机一つなかった時代に私自身でさえ、そう思っていました。私の会社が初めて新聞に取り上げていただいたのは24~25年前です。地元群馬県で行われた、製品展示会に当社の製品を出展させていただいたところ、本当に小さな記事、ほんの2~3行ですが、群馬県にも面白いものづくりの会社があるという程度でしたが取り上げていただきました。これをきっかけに、記者が時々電話をくれたり、取材に立ち寄ってくれたりするようになりました。話題が話題を呼ぶということだと思います。一度・二度取り上げていただいて、経営者・管理職の皆さんが話題づくりを考えていると、「あの会社面白そうだ、何かネタがありそうだうだ」と記者も時々足を運んでくれるようになります。それを面白く読んだ他のメディアの人が取材にくるという好循環が生まれます。お付き合いのある記者に聞いてみると、「メディアを一番チェックしているのは、同じメディアの人」だそうです。どの業界でも、どの仕事でも同じことがいえるのではないでしょうか。同業他社の動向が気になって仕方がない方が多いのではないかと思います。私の会社よりも優秀で技術もあり、利益をたくさん出されている会社は、今日お集まりの皆さんの会社を含め、全国に星の数ほどあると思っています。そういった優良企業と思われる皆さんの会社が必ずしも新聞雑誌といったメディアに取り上げてもらえるわけではありません。なぜならば、他所と同じ仕事をしている、親会社に言われるままの商売をしている会社は、多少規模が大きくても、多少利益を出していようとも、メディアからみれば「つまらない会社」「存在感がない会社」だと思われていることに早く気がつくべきではないでしょうか。

新聞等のネタになり易い要素は3つあります。一つはナンバーワン、一つはオンリーワン、一つは新規性です。ナンバーワンは業界や地域でのトップ企業、内外から注目される企業です。オンリーワンはそれしかない、他に代替えがきかないということだと思います。新規性というのは初めて開発された製品、新規事業が当てはまると思います。近年流行のIT産業などはこの新規性のネタで取り上げてもらっています。革新的な経営、生き残るための経営を行うためにも、自社の存在感をアピールするというのがこれからは何よりも必要だと思います。「よし、うちも新聞に取り上げてもらえる会社にしよう」と何が何でも思っていただきたいと思います。最初は本業の仕事と全く関係のない話題でもよいかと思います。会社で珍しい動物を飼っているとか、面白い形・色をした建物で仕事をしている会社が福岡にあるなど、どんなことでも良いと思います。まずは自分の会社の存在感をアピールする事から始めていただけたらと思います。

次に大切なことは、何らかのことで一度・二度と新聞雑誌に取り上げてもらったら、その思い出に浸るのではなく、「絶対に継続させる」ということです。芸能人やタレントと同じです。テレビで顔を見なくなると落ち目のように思われるのと同じで、我々会社・企業も同じようなことがいえます。何度か新聞に取り上げてもらってそれっきりというのでは、「あの会社は、以前はよく新聞に出ていたけれども、最近おとなしい。潰れたのか、夜逃げしたのか」などと思われても気分が悪いと思います。「あの会社は相変わらず、新聞に取り上げてもらっている、調子がいい、儲かっている」と思ってもられる努力も必要ではないでしょうか。

マスコミで取り上げてもらうメリットは大きく2つあります。一つは、営業的な宣伝効果ということです。これは皆さんの会社で扱っている商品・製品に対して黙っていても付加価値がつくということです。二つ目は、皆さんの会社で働く社員の自信につながると言うことです。小さな会社の社員というのは、とかく大きな会社に勤める社員と比較して、劣等感、コンプレックスの塊だと思います。しかし自分の勤めている会社が何度も新聞や雑誌に取り上げてもらえるようになると、自信を持てなかった社員の意識が大きく変わります。会社名を名乗ったときに、「こんな会社聞いたことない、どこにあるの、なにしているの」といわれるより、「この前雑誌に出ていた会社ですよね」と言われれば、社員も悪い気はしません。当然のことながら、お客様の評価・観方も大きく変わってきます。数多くあるただの使い捨て下請けの一社に過ぎないと思っていた会社が、何度も新聞・雑誌に取り上げてもらうと、「あそこだけはただの下請けではないから」とお客様が一目二目置いてくれるようになります。小さな会社だからこそ、新聞・雑誌・メディアと上手く付き合えれば、メリットは無限大になると思います。どちらかというと、今までおろそかにしていた小さな会社の広報・宣伝活動というのは、小さな会社だからこそ絶対に必要だという意識を持っていただけたらと思います。

青森県津軽半島日本海に面したところに、十三湖と呼ばれる湖があります。日本の湖の中で一番大きい湖の琵琶湖から数えて、広さでちょうど20番目くらいの規模の湖です。同じくらいの広さを持つ湖として、北海道に摩周湖があります。だたし、摩周湖はここにいらっしゃる方全員ご存じのように、「霧の摩周湖」と歌にも歌われるような、全国的に名の知れた観光地となっています。対して、青森の十三湖は白鳥の飛来地、シジミの養殖地として観光資源があるにも関わらず、あまりにもその名前が知られていません。何かの本に出ていて、中小企業とかぶったので、よく覚えているのですが、そこは「忘れられた湖」と呼ばれています。我々中小企業も同じようなことが言えるのではないでしょうか。皆さん業界・業種においても同じ規模・同じ技術力・同じ設備規模を持っている会社でも一方はマスコミで大きく取り上げてもらい、もう一方は世に埋もれて勝負を終わってしまっている、そのような会社が皆さんの周りにも多くあるのではないでしょうか。この違いは何でしょうか。この違いを考えるというのが皆さんの役割の一つだと思います。忘れ去られた中小企業、会社で終わっていいのでしょうか。忘れられた社長・社員・管理職というのは寂しいと思います。メディアの活用をもっと真摯に真剣に進めるべきだと思います。

仕事をする、働く人を含めて、仕事の原点、商売の原点は「あいうえお」のたった5文字で表すことができます。 「あ」はアイディア、ひらめきです。「い」はインタレスト、好奇心です。「う」はウォーク、行動の精神。「え」はエキサイティング、情熱です。「お」はオーナーシップ、自前企業でいるということです。この基本だけを覚えておくと勝てると思います。物事の考え方として注意すべきことは、常に往復する考え方を持つことだと思います。行きと帰りを往復する、開けたら閉める、教わったら教える、表と裏を見ると言うことです。会社経営は何をするかという馬鹿げた考え方ではなく、何をしてはいけないかということが大切だと思います。

皆さんに気がついていただきたいことは、普段何気なく見過ごしている小さな沢山の不思議な出来事にひとつでもふたつでも、気がついていただければと思います。例えば数多くの不思議な出来事に、物を販売する営業マン、車の営業マンが解り易いかとおもいますが、同じメーカー、同じ価格、同じ品質、同じ知識であっても、車を売る人は月に40~50台を売ります。対して売れない人は月に1~2台くらいしか売れません。また、ものづくり、製造業の人をとってみても一日に10~20個しか作れない人もいれば、一時間に10~20個作れる人もいます。器用・不器用だけの差ではないと思います。同じ会社・同じ学校・同じ組織にいても、同じ時間・同じ設備・同じ環境にいても出てくるこの差はなんでしょうか。同じ努力をしているのに、売れる人・売れない人、作れる人・作れない人に分かれています。所得と名声に差が出ます。勝つ人・負ける人に分かれています。この差はなぜ出るのでしょうか。成功している人、仕事ができる人というのは他のひとより10倍以上努力をしているわけではないと思います。同じくらいの努力をしていると思います。ただ一つ言えることは、ほんの少し努力の質が違うと言うことです。その質の違い、その努力というのは、先人の知恵に学ぶ、先人の知恵を頂くということです。それだけで差が出ます。自分より努力している人だけを目標に生きるべきだと思います。

皆さんには一日一日の違いを少し真剣に考えていただけたらと思います。昨日と今日、ほとんど何の変化もありません。99%同じだと思います。今日も明日もほとんど同じではないかと思います。しかし一ヶ月経つと、わずかその0.1%の違いが3%の違いとなって表れてきます。1年経つと36%の違いとなります。小さな違いに敏感になるということが経営者・管理職にとって大切ではないでしょうか。

IQというのは持って生まれたもので、このようなものはどうでもよいものです。しかしEQ(完成数)というものは自分の努力だけで高めていけるものだと思います。勉強すると言うことは、知らないことを知ると言うことです。知らないよりは知っている方が良いので、学問は大切だと思います。しかし仕事の能力や才能はやってみないと解りません。知っている人よりもやっている人・実行している人の方が勝つ、強いと思います。知識があるから勝てるとは限りません。コンサルタントの先生方が、現実には会社経営できないのと同じです。中小企業は、頭はないが知恵と工夫はあると考えるべきだと思います。学歴はなくても、学力、学ぶ力があるというという感覚が大切ではないでしょうか。註所企業は「七転び八起き」という甘ったれた考えではなく、「一転びアウト(倒産)」であると考えて努力していくべきだと思います。一生懸命やる人には勝てません。好きでやる人にはなお勝てません。悲しくやる人には尚勝てません。そういうことかと思います。

「楽しい人生、楽しい仕事をする為には5の“自”に惚れろ」という言葉があります。一つは会社を好きになるということです。一つは自分の奥さんを好きになるということです。一つは自分の会社の製品を好きになれということです。一つは自分の会社のお客様を好きになれということです。最後が、自分で自分を好きになれということです。自分も感動しなければ、人を感動させることは出来ません。楽しい人生、それに対してつまらない人生、つまらない仕事というのは、嫌いな人に使われて、仕事は嫌いなお客様に会い、仕事は嫌いな仕事をする。あまりにも惨めではないでしょうか。そういうことから、正しい人生を生きるための心得7カ条というのを理解していただければと思います。

一つめの心得は、価値観です。見えるもの、見えないものどちらを選ぶかということです。物やお金を失うと小さく失います。しかし自信を失うと大きく失うということだと思います。

心得二は正しい生きざまをしろということです。間違いや悪いことは9回までに気がつくということです。間違いや悪いことは10回やると本当の悪党になります。悪党になるな、悪党はいらないということです。

心得三は、会議です。自分会議を開きなさいということです。いろいろな場面立場での自分の発言を考えてみようということです。否定する自分、頑張る自分、怠ける自分。自分会議を開いていただきたいと思います。

心得四は、自己分析です。自分を信じるということです。危機感を持つことと不安感を持つことの違いに気づくということが大切だと思います。

心得五は心の在り方を明確にすることです。「忙しい」というのが口癖の人に仕事ができる人はいません。忙しいとは、心を亡くすとも書きます。

心得六は、人に尽くす喜びをしるということです。相手が「気持ちが良い」と思われることを、結果を求めず先に相手に行うとツキが手元にやってきます。

心得七は掃除です。女性の方もいらっしゃるので特によく覚えていただければと思います。これは幸せというのは裏から窓からはいってくるということです。掃除の基本は後ろから前へ掃除をするということです。玄関から掃除を始めると勝手口にごみを捨てます。しかし勝手口から掃除をして玄関にごみを捨てる馬鹿はいません。この7つの心得を最低限理解していただけたらと思います。

革新的な経営者・創業者・後継者を目指すためにも、2つの関門をクリアしていただけたらと思います。まず一つめの関門は、後継者は作業者としての仕事から、経営者としての仕事に脱皮しなければならないということです。私も昔はそうですが、現場で機械加工を行い、検査・納品・集金まで一人で夜中まで飛び回っていた時期が十数年ありましたが、それはあくまでも現場の作業者としての仕事でしかないと思っています。朝7時・8時から夜9時・10時過ぎまで一日10時間~15時間現場で作業をする方がこの中にはおられるかと思います。ただそれだけで、自分は仕事を一生懸命にやっているとすれば、かなり問題のある人物ではないかと思います。一日は24時間あるわけですから、作業者としての時間を終えて、残った時間で経営者としての仕事をどれだけするかということが、勝負の分かれ目になります。現場で仕事をやるだけではダメです。営業でお客さまのところに行くだけでもダメです。机に座ってお金を数えているだけでもダメだと思います。経営者・管理職・後継者の皆さんにとって大事なことは、どんな会社にしたいのかを、社員・取引先、あるいは私と同じように馬鹿な2代目であれば初代経営者に対して、明確にしていくことが大事であり、自社のストロングポイントをいつも全面に打ち出すということが要求されると思います。何のために会社経営、何のために仕事をしているのかということが、外から見て解るようにするということが、後継者の経営者としての最初の仕事ではないでしょうか。

二つ目の関門は、経営者はビリケツの発想で勝負をしろということです。私の考えでは、一番出なければ、あとはみなビリケツと同じです。例えば今日この会場に20名前後の方がいらっしゃるとします。ほとんどの方は「うちの会社は5番目、10番目くらいの会社」だと考えて中途半端に自惚れたり、中途半端に卑屈になって終わってしまっていると思います。20人くらいいるという感覚ではなく、5人・10人しかいないと考えれば、自分がビリケツであればその前の4番、9番の人を見て、どうしたら追いつけるかを考えていけばよいと思っています。自分より下の人をみて安心するというのは馬鹿げた感覚で、絶対に持つべきではありません。自分より上の人だけをみる、という発想を持てればいつもビリケツで上昇気流に乗れると思います。私が思うに、後継者・管理職の皆さんは、自分が優越感を感じる相手とは即刻付き合いをやめろということです。そして自分が劣等感を感じさせられた相手とだけ付き合う努力をしていくということです。後継者の皆さんにとって大切な事は、自分の感性を信じるということだと思います。ではそういった後継者の感性を高める手段を今日は3つお話します。

感性を磨くための一つ目は、後継者は常に異質であれ、そして善であれということです。経営者・あるいは管理職の人は、独りになること、孤独になることを恐れる必要はありません。「一流の人間は群れをなさない」という諺があります。そして、「儲かれば何でもあり」という経営姿勢ではなく、小さな会社だからこその正直さ、ひたむきさ、頑固さというものが大切ではないかと思います。要良の良さや人を押しのけて自分だけ上手く立ち回ってやろうなどと思う心の貧しい経営では、あまりにも存在感がなさすぎると思います。
そういう考えでは会社経営は絶対に出来ません。自分の感性をとことん磨きあげていただければと思います。

感性を磨くための二つ目は、後継社長はアナグマ社長になるなということです。これは私の趣味である将棋に例えると、将棋にアナグマ戦法というのがあります。これは王様だけ隅っこに隠れて、相手と消耗戦で戦う戦法です。でもこれは兵力で勝る大手中堅企業がやるべき戦法であって、小さな会社は絶対にしてはいけないと思います。小さな会社では経営者自らが真っ先に相手に切り込んでいく、そして切り込んでいった経営者の後ろ姿をみた社員一人一人が、それを粋に感じて、とるものもとりあえず駆けつけていく、というのが小さな会社の経営者と社員のあるべき姿ではないかと信じています。自分だけ安全地帯に入ればよいという馬鹿げた考え方では、今のように急激に変化する情勢・経済環境についていけず、社員の頑張りさえもわからず、社員全員犬死させてしまうと思います。経営者は切り込み隊の先頭を行くことが大切だと思います。

感性を磨くための三つ目は、経営者は地元の名士となるなということです。どこの地区にも地元の名士を気取りたがるつまらない経営者がいらっしゃいますが、そういう会社で伸びている会社は実質ほとんどありません。経営者・管理職にとって必要なことは、地元の名士となって自分のプライドだけを満足させるという馬鹿げた生き様ではなく、社員・家族の幸せを願い、本業の仕事を全力投球していくことだと思います。裸の王様に絶対ならないように気をつけていただければと思います。

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経営者の経営目的について少し触れてみたいと思います。皆さんの会社でも事業展開を進めていくために、中小企業診断士、税理士、コンサルタントの先生、銀行、会議所の指導員にあれこれ指導を受けているところが多いかと思います。その時に大切なことは、経営者の皆さんとコンサルタントの先生の目的・思い入れが一つになれるかどうかということが、非常に大切な要素だと思います。例えば、基本的なこととして、中小企業とはお互いにどれくらいの会社と考えているのか、具体的に中小企業小回りというのはどういうことをいうのかということです。よくコンサルタントの先生は、これからの中小企業は「よそにない得意技を持ちなさい」と寝言を言ってくれますが、具体的にはどういうことを指すのかということです。もっとも業種・業界・規模は皆さんの知識の方が上だと思いますが、同じ後継者という共通点で本音で話しをさせていただければ、経営者

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講師:中里 良一(なかざと りょういち)

(有)中里スプリング製作所 代表取締役

「日本一楽しい町工場」をキャッチフレーズに「はずむ技術で製品開発」し,「ばね鋼房」としてブランド化。ユニークな経営方針で注目を集める。

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